こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、川口俊和んの
『愛しさに気づかぬうちに』について紹介をしていきます!
『愛しさに気づかぬうちに』について
本書の概要
本書はひとことで言うと
過去と未来を通じた、人間愛を描く物語です。
本書をオススメしたい人
・感動的な人間ドラマが好きな人
・大切な人との関係を見直したい人
・『コーヒーが冷めないうちに』シリーズが好きな人
本作は、『コーヒーが冷めないうちに』シリーズの第6作目です。
本作も不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台に、
時間を超えることで愛や後悔、希望と向き合う人々の物語を描いています。
4つのエピソードが収録されており、
義母とのわだかまりを解消する娘、記憶を失った初恋の人を待ち続ける男性、
余命宣告を受けた女性、そして亡き父と再会する少年など、
それぞれが自身の心の傷や愛に気づきながら成長する姿が描かれています。
時間を超えるという幻想的な設定を通じて、
愛の形や人間関係の本質を問いかける本作は、心に深く響く感動的な一冊です。
『愛しさに気づかぬうちに』のあらすじ
あらすじの概要
『コーヒーが冷めないうちに』シリーズ第6巻、発売!
とある町の
とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座るとその席に座っている間だけ
望んだ通りの「時間」に移動ができるという
ただし、そこにはめんどくさい……
非常にめんどくさいルールがあった
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない者には会うことができない
2.過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない
3.その席には常に白いワンピースを着た女が座っている
4.その席に座れるのはその女が席を立った時だけ
5.過去に戻っても、席を立って移動はできない
制限時間はカップにコーヒーを注いでから、そのコーヒーが冷めるまでの間だけ
めんどくさいルールはこれだけではない
それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる
喫茶店の名前は、フニクリフニクラ
この物語は、そんな不思議な喫茶店で起こった心温まる四つの奇跡。
愛しさに気づかぬうちに より
過去と未来が交差する場所で紡がれる4つの愛の物語
本作は、シリーズ第6弾となる作品で、
不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台に、
時間を超える物語が4編収録されています。
各話は、過去や未来に行くことで、愛や後悔、希望と向き合う人々の姿を描いています。
第1話「お母さんと呼べなかった娘の話」
中学生の時に実母を亡くした女性が、
義母との関係に悩み、喧嘩別れして十数年が経過。
義母が亡くなった後、自身も血の繋がらない娘を持つ立場となり、
過去の義母に謝罪するために喫茶店を訪れます。
過去の義母に「お母さん」と呼びかけることで、
長年のわだかまりが解け、涙を流す場面が描かれています。
第2話「彼女からの返事を待つ男の話」
中学時代、バレンタインデーに告白されたものの、勘違いから行き違いが生じるだけでなく
その日のうちに彼女が事故に遭い記憶喪失になってしまいます。
再会の望みも薄れる中、過去に戻って想いを伝えようとします。
しかし、伝えられず、ホワイトデーに喫茶店で待つと伝え、
その記憶が戻るまでの数年間、毎年喫茶店で彼女を待ち続ける男性の姿が描かれています。
第3話「自分の未来を知りたい女の話」
余命5年の宣告を受けた女性が、同時にプロポーズも受けます。
5年後の未来に行き、自分が生きているかを確認しようとしますが、
死んでいる可能性を感じ、プロポーズを断ろうと決意。
しかし、相手の強い想いに揺れ動いてしまいます。
第4話「亡くなった父親に会いに行く中学生の話」
料理人の父を亡くした中学2年生の男子が、父に会うために過去へと旅立ちます。
父との再会を通じて、父の思い出や教えを再確認し、
前向きに生きていく決意を固める姿が描かれています。
『愛しさに気づかぬうちに』の感想
時を超えた愛が描く、人間の本質に迫る物語
本作は、「フニクリフニクラ」の独特な舞台設定を通じて、
人間が持つ未練、後悔、そして愛の多面性を深く掘り下げた物語です。
本作はシリーズ第6作目でありながら、
テーマ性やストーリーテリングの完成度はさらに磨きがかかっています。
時間を超えるという幻想的な要素は、単なる物語の仕掛けにとどまらず、
登場人物たちの心の中に隠された真実を照らし出すための鏡として機能しています。
まず、各エピソードは、時間を超えるという行為が何をもたらすのかを、多角的に描いています。
第1話の義母との和解では、「お母さん」と呼べなかった後悔と、
その言葉に込められた愛が物語の核心です。
この場面は、私たちが普段見落としている感謝や愛情が、
どれほど大切であるかを教えてくれます。
義母との関係を修復する瞬間の描写は、情感豊かでありながら、
過剰にならない繊細な筆致が光ります。喫茶店で過去に戻り、
かつて言えなかった「お母さん」を呼びかけるシーンは、涙なしには読めない名場面です。
第2話の記憶喪失の彼女を待ち続ける男性の物語は、
さらに深い愛と忍耐の物語を紡ぎます。
バレンタインの誤解をきっかけに彼女が記憶を失い、
それでも毎年ホワイトデーに喫茶店で待ち続ける男性の姿は、
「報われない愛」に対する究極の献身を描いています。
愛とは必ずしも相手に伝わるものではないが、それでもその愛が純粋である限り、
人間を支える力となることをこのエピソードは教えてくれます。
彼が彼女の記憶を取り戻す日を信じて喫茶店に通い続ける姿は、
孤独と希望のコントラストを際立たせています。
第3話で描かれる余命宣告を受けた女性の物語は、愛と時間の本質を問いかけます。
5年後の未来に行く決断の先に待っているのは、
自分のいない未来を見る恐怖と、愛する人と共に生きる選択のどちらか。
このエピソードは、限られた時間の中で
「どのように生きるか」を問う普遍的なテーマに迫ります。
特に、女性がプロポーズを受け、幸せな家庭を築く一方で、
自身の死期を見つめる心の葛藤は、人間の本質的な強さと脆さを象徴しています。
彼女が選んだ未来がもたらす幸せと悲しみは
読者に人生の有限性を思い起こさせると同時に、今を生きる大切さを強調しています。
第4話の少年が亡き父と再会する物語は、家族愛の尊さを教えてくれます。
父を失った少年が過去に戻り、父親から教えられる料理の技や
生きる意味についての教えが未来への糧となる瞬間の描写は、
父と子の間に築かれた深い絆を見事に表現しています。
少年が父の背中を追い、彼の夢を引き継ぐ決意を固める姿は、
家族が私たちに残す「形のない財産」を再認識させます。
また本作は、私たちが普段気づかない愛の形や、
人間関係の脆さと強さを巧みに描き出しています。
それぞれのエピソードは、個々のキャラクターの物語でありながら、
誰もが共感できる普遍的なテーマを内包しており
単なる物語の舞台ではなく、人々が心の中の真実と向き合う場所として機能しています。
さらにシリーズ作を共通して読み終えた後に深い余韻が残る作品です。
「もし自分が同じ状況に置かれたら、どう選択するのだろう」という問いを読者に投げかけ、
自身の人生や人間関係を見つめ直すきっかけを与えてくれます。
愛の形や後悔の意味、そして時間の尊さに触れる物語は、
どんな世代の読者にも響く普遍的なメッセージを届けています。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
感情に寄り添う描写が際立つ本作は、単なるフィクションの枠を超え、
私たちの日常に潜む「愛しさ」を鮮やかに浮かび上がらせる作品でした!
本書が気になる方は
是非本書を手に取ってみてください!
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