スポンサーリンク
スポンサーリンク

『転の声』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、尾崎世界観さんの

『転の声』について紹介していきます!

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク

『転の声』について 

本書の概要

本作はひとことで言うと、

転売を通じて現代の価値観と消費行動を鋭く問いかける物語です。

 

本書をオススメしたい人

・現代の消費文化や転売問題に興味がある人

・アーティストとファンの関係に興味がある人

・尾崎世界観さんが好きな人

 

本作は、尾崎世界観による現代社会に根付く転売文化と、

それに関わる人々の心情を描いた作品です。

 

物語は、SNSアプリ「転の声」を通じて繰り広げられ、

アーティストとファン、転売に携わる人物たちが、

それぞれの立場で向き合い、葛藤する様子が描かれています。

 

現代の音楽シーンや消費文化に対する鋭い観察が盛り込まれ、

転売に対する善悪を超えて、その背後にある人間の欲望や価値観が浮き彫りになっています。

 

著者自身の音楽活動から影響を受けた作品でもあり、

特にファンとアーティストの関係性に焦点を当てた点が特徴的です。

 

本作は、転売文化をテーマにしているだけでなく、

現代社会での「価値」とは何か、欲望や消費のあり方を深く問いかけており

読者者に対して多くの考察の余地を残し、

時にシニカルでありながら、どこか共感を呼ぶ一作となっています。

 

『転の声』のあらすじ

あらすじの概要

「俺を転売して下さい」喉の不調に悩む以内右手はカリスマ”転売ヤー”に魂を売った⁉ ミュージシャンの心裏を赤裸々に描き出す。

主人公の以内右手は、ロックバンド「GiCCHO」のボーカリストだ。着実に実績をつみあげてきて、ようやくテレビの人気生放送音楽番組に初出演を果たしたばかり。しかし、以内は焦っていた。あるときから思うように声が出なくなり、自分の書いた曲なのにうまく歌いこなせない。この状態で今後、バンドをどうやってプレミアムな存在に押し上げていったらいいのだろうか……。

そんなとき、カリスマ転売ヤー・エセケンの甘い言葉が以内の耳をくすぐる。「地力のあるアーティストこそ、転売を通してしっかりとプレミアを感じるべきです。定価にプレミアが付く。これはただの変化じゃない。進化だ。【展売】だ」

自分のチケットにプレミアが付くたび、密かに湧き上がる喜び。やがて、以内の後ろ暗い欲望は溢れ出し、どこまでも暴走していく……

果たして、以内とバンドの行きつく先は?

著者にしか書けない、虚実皮膜のバンド小説にしてエゴサ文学の到達点。

転の声  より

 

「転売と価値が交錯する現代社会の縮図」

本作は、クリープハイプのボーカル・ギターである尾崎世界観さんが

現代の転売文化とその影響を軸に描いた作品です。

 

物語の舞台は、SNSアプリ「転の声(Rolling→Voice)」という仮想のプラットフォーム。

 

このアプリは、音楽ライブのチケットや限定グッズの転売を促進するもので、

ユーザー同士が価値のある品を高値でやりとりする現場が描かれます。

 

物語は、このアプリの仕組みやそれに関わる人々を中心に展開し、

ファン心理、転売業者、アーティストとの複雑な関係が浮き彫りにされます。

 

転売を生業とする人物や、その行為に対して疑念を抱くファンや音楽関係者たち

ライブ会場でのインタビューシーンや、転売チケットを手にするファンの心理描写を通じて、

転売が一部の人にとっては利益追求の手段である一方で、

他の人々にとっては「本物の価値」を追求するための行為としても捉えられています。

 

『転の声』の感想

価値観の揺らぎと人間関係を問いかける一冊

本作は現代社会の消費行動や価値観に対する鋭い批評であり

特に転売を通じて浮かび上がる人間関係や

心理的葛藤が読者に強いインパクトを与えます。

 

著者である尾崎世界観さんは、音楽業界に携わる人物として、

ファンとアーティストの間にある緊張関係や、

それぞれの立場での苦悩を巧みに描き出しています。

 

特に、転売を巡る「価値」の問題が物語の中心にあり、

金銭的価値と感情的価値が複雑に絡み合う様子が繊細に表現されています。

 

物語は、単に転売という行為を善悪で捉えるだけでなく、

そこに潜む人々の欲望や不安、社会的な圧力にまで言及しており、

読者に消費の意味を問いかけます。

 

また、著者自身が感じている「アーティストとしての感情」と

「ファンからの期待」との狭間で揺れ動く心情が、

彼自身の音楽活動を反映しているような描写もあり、

音楽ファンにとっては特に共感する部分が多いと感じました!

 

鋭い洞察と独特の表現は、物語にユーモアとシリアスさを織り交ぜながら、

現代社会における「消費」の本質を深く探究しています。

 

転売問題を通じて、消費者としての自分や、

他者との関係性を改めて考えさせられる内容であり、

読み終わった後に深い余韻を残す作品です。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

芥川賞の候補作にもなった本作は

転売問題について深く切り込んだ良作だと思いました!

 

本書が気になる方は

是非本書を手に取ってみてください!

コメント

タイトルとURLをコピーしました