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『彼女は頭が悪いから』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、姫野カオルコさんの

『彼女は頭が悪いから』について紹介をしていきます!

 

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『彼女は頭が悪いから』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

学歴社会が生む無意識な偏見と残酷さを描く作品です。

 

本書をオススメしたい人

・学歴や社会的格差が人間関係に及ぼす影響に関心がある人

・社会問題を扱ったリアリティのある小説を読みたい人

・被害者が加害者のように扱われる社会構造に疑問を持つ人

 

本作は、学歴や社会的地位の違いが

人間関係に与える影響を描いた社会派小説です。

 

主人公の美咲は、地方の県立高校を卒業し

中堅の女子大学に通う普通の女子大生です。

 

彼女は東大生のつばさと出会い、親しくなりますが、

つばさの周囲は彼女を対等な存在とは見なしていません。

 

彼の友人たちが主催する「星座研究会」の飲み会に誘われた美咲は、

酒を飲まされ、辱めを受けることになります。

 

そして事件が公になると、SNSでは「東大生狙いの女」と中傷され、

社会の偏見や学歴格差に直面します。

 

本作は、学歴ヒエラルキーがもたらす無意識の偏見や、

被害者に向けられる社会の冷酷な視線を浮き彫りにし、

読者に鋭い問題提起を投げかける作品です。

 

『彼女は頭が悪いから』のあらすじ

あらすじの概要

私は東大生の将来を台無しにしたクソ女なの?

私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの?
深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。

現実に起こった事件に着想を得た衝撃の書き下ろし「非さわやか100%青春小説」!

横浜市郊外のごくふつうの家庭で育った神立美咲は女子大に進学する。渋谷区広尾の申し分のない環境で育った竹内つばさは、東京大学理科1類に進学した。横浜のオクフェスの夜、ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。しかし、人々の妬み、劣等感、格差意識が交錯し、東大生5人によるおぞましい事件につながってゆく。

被害者の美咲がなぜ、「前途ある東大生より、バカ大学のおまえが逮捕されたほうが日本に有益」「この女、被害者がじゃなくて、自称被害者です。尻軽の勘違い女です」とまで、ネットで叩かれなければならなかったのか。

「わいせつ事件」の背景に隠された、学歴格差、スクールカースト、男女のコンプレックス、理系VS文系……。内なる日本人の差別意識をえぐり、とことん切なくて胸が苦しくなる「事実を越えた真実」。すべての東大関係者と、東大生や東大OBOGによって嫌な思いをした人々に。娘や息子を悲惨な事件から守りたいすべての保護者に。スクールカーストに苦しんだことがある人に。恋人ができなくて悩む女性と男性に。

この作品は彼女と彼らの物語であると同時に、私たちの物語です。

彼女は頭が悪いから  より

 

学歴社会の歪みが生んだ悲劇の物語

本作は、学歴や社会的地位が人間関係に及ぼす影響、

そして無意識の偏見や差別がどのように人を追い詰めていくのかを描いた社会派小説です。

 

本作は、1990年代後半の日本を舞台に、

東京大学の学生と地方出身の女性の格差を軸に展開します。

 

物語の主人公、美咲は、横浜市青葉区の住宅街で育ち、

地元の県立高校から中堅の女子大学に進学した普通の女子大生です。

 

彼女は特に学歴にこだわることもなく、

ごく一般的な価値観の中で生きていました。

 

一方で、つばさ(仮名)は、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち、

東大に進学したエリート層の一員です。

 

彼の周囲は皆、東京大学というブランドを意識し、

それを当然のように受け入れています。

 

美咲とつばさは、ある日偶然に出会い、しばらく親しく過ごします。

 

しかし、つばさは次第に美咲への興味を失い、

別の女性へと気持ちが移っていきます。

 

それでも美咲に対して完全に関心を断ち切ることはなく、

彼の友人たちが主催する「星座研究会」の飲み会に彼女を誘います。

 

このサークルは、東大生によって形成されているもので、

一見文化系の趣味の集まりのように見えますが、

実態は「東大生が非東大生を見下す場」となっていました。

 

美咲はその飲み会で、つばさやその仲間たちに酒を飲まされ、

辱めを受けることになります。

 

彼女にとってその出来事は衝撃的なものであり

精神的にも大きなダメージを負います。

 

しかし、さらに彼女を追い詰めたのは、その後の社会の反応でした。

 

事件が公になったとき、世間やSNS上では

「東大生狙いの女子大生」という偏見が広まり、

美咲はまるで自業自得のような扱いを受けます。

 

被害者でありながらも

「学歴が低いのに東大生と関わろうとしたことが悪い」といった論調が広がり、

彼女は二重の苦しみを味わうことになります。

 

東大という学歴ブランドが生む無意識の優越感と、

非エリート層に対する見下しの構造が、この事件をより悲惨なものにしました。

 

物語は、美咲がその後どのようにこの出来事と向き合い、

社会の視線の中で生きていくのかを追いながら、

読者に現代社会の学歴意識や階層格差、被害者への偏見が持つ危険性を問いかけます。

 

『彼女は頭が悪いから』の感想

優越感と偏見が生んだ、見えない暴力の本質

本作は、日本社会に根深く在する「学歴に基づくヒエラルキー」と、

無意識の偏見が、どれほど人間関係や価値観に影響を及ぼすのかを描いた問題作です。

 

読後に感じるのは、ただのフィクションではなく、

実際に社会で起こり得る、あるいはすでに起こっている出来事の一部であるという現実感です。

 

本作が示すテーマの1つは、

「学歴と人間の価値は本来無関係なのに、社会はそれを強く結びつけてしまう」という事実です。

 

美咲は、普通の家庭に育ち、普通の大学に通う普通の女子大生でした。

 

しかし、「東大生の世界」に足を踏み入れた瞬間、

彼女は無意識のうちに「場違いな存在」と見なされ、

その結果、悲劇的な事件に巻き込まれてしまいます。

 

物語を通じて感じたのは、東大生であるつばさやその仲間たちの優越意識です。

 

彼らは決して公然と「学歴が低い人間を馬鹿にする」とは言わないものの、

その行動の端々に「無意識の見下し」が表れています。

 

彼らにとって、美咲のような存在は

「たまに関わることで、自分たちの優位性を実感するための存在」でしかなく、

彼女が同じ人間として対等に扱われることはありませんでした。

 

さらに衝撃的なのは、事件後の美咲に対する社会の反応です。

 

被害者であるにもかかわらず、SNSでは

「東大生を狙った計算高い女」としてバッシングされ、

まるで加害者のように扱われます。

 

これは現実世界でも頻繁に見られる「被害者叩き」の構造そのものであり、

特に女性が被害を受けた場合に起こりやすい現象でもあります。

 

本作の読後感は、決して軽いものではなく、む強い憤りや不快感を伴います。

 

登場人物の心理描写がリアルに描かれており

美咲の目線から見た社会の冷たさ、つばさたちのエリート意識の危険性、

そして何よりも、社会がいかに「学歴」を基準に

人間を評価しているのかが克明に示されています。

 

特に、現代のSNS文化と本作のテーマが密接に結びついている点も注目すべき点です。

 

学歴や社会的地位を背景とした「情報操作」が容易になった今の時代では、

被害者が一瞬にして加害者のように扱われることも珍しくありません。

 

本作は、その恐ろしさを見事に描き出しており

全体を通して、読者は「学歴社会の不条理」を突きつけられ、

自らの価値観を再考するきっかけを得られます。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

読了後、無意識の偏見がいかに社会に根付いているかを知り、

個人としてどう生きるべきかを考えさせられます。

 

本書が気になる方は

是非本書を手に取ってみてください!

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