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『熱源』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、川越 宗一さんの

『熱源』について紹介をしていきます!

 

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『熱源』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

民族差別の歴史を描いた1冊です。

 

本書をオススメしたい人

・胸が打たれる作品が好きな人

・直木賞作品を読みたい人

・歴史が好きな人

 

本作は、第162回直木賞を受賞した作品です。

 

アイヌ民族を題材とした歴史小説で

明治から太平洋戦争の終戦までを描いています。

 

明治14年、5歳で両親を亡くしたヤヨマネクフは

9歳の時に樺太がロシア領になったため

仲間と共に北海道に移住させられます。

 

和人たちに差別を受け、「日本人であること」を押しつけられながら

成長した彼は、アイヌ美人のキサラスイと結婚して、息子も生まれます。

 

しかし妻のキサラスイを天然痘で亡くし

アイヌの村はこの天然痘の流行で壊滅状態になります。

 

「故郷に帰りたい」と言い残して死んだ

キサラスイのために、彼は樺太に帰ることを決意します。

 

もう1人の主人公であるポーランド人のブロニスワフ・ピウスツキは

母国をロシアによって消滅させられます。

 

ポーランド人は「ロシア人になること」を押しつけられ

ポーランド語を話すことも禁じられてしまいます。

 

反ロシアのデモ活動に参加していたピウスツキは

皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、無実の罪で樺太に送られます。

 

そこで待っていたのは過酷な強制労働でした。

 

絶望の日々を送るうちに、樺太の先住民族であるギリヤークの人たちに出会い

交流重ねるたびに、生きる希望を見出します。

 

ロシア人たちに迫害されるギリヤークたちを見て

義憤を感じたピウスツキは、彼らを助けて

「兄貴」と呼ばれて信頼されるようになります。

 

やがて、ピウスツキは樺太に住むアイヌとも接触を持ちます。

 

「文明」を押し付けられ、民族としての誇りを奪われたという

共通点を持つ二人が樺太で出会い、生きるための「熱」を求めていきます。

 

『熱源』のあらすじ

あらすじの概要

樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。

一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。

日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。

文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。

樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。

金田一京助がその半生を『あいぬ物語』としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。

熱源 より

 

樺太出身のアイヌ人である「ヤヨマネクフ」は

故郷を奪われ北海道に強制移住させられます。

 

さらに、天然痘やコレラの流行が原因で

妻や多くの友人たちも失ってしまいます。

 

その後、ヤヨマネクフは山辺安之助と名前を変えて

再び樺太の地に戻ろうと心に決めます。

 

その一方、リトアニアに生まれたブロニスワフ・ピウスツキは

ロシアの同化政策により、母語のポーランド語を話すことができません。

やがて、ロシア皇帝の暗殺を謀った罪でサハリン(樺太)に流刑となります。

 

日本人にされそうになった、アイヌのヤヨマネクフ。

ロシア人にされそうになった、ポーランド人のブロニスワフ・ピウスツキ。

 

ともに故郷を奪われ、文明を強要され

そしてアイデンティティを揺るがされた2人が樺太の地で出会い、

時代に翻弄されながらも、自らが守り継ぎたい「熱」を追い求めていきます。

 

主な登場人物

アレクサンドラ・クルニコワ

ソヴィエト連邦軍の女性狙撃兵。階級は伍長。

 

ヤヨマネクフ(山辺安之助)

樺太出身のアイヌ。幼少時に樺太から北海道・対雁(ついしかり)に移住した。

シシラトカ(花守信吉)

同じく樺太出身のアイヌ。

 

千徳太郎治

ヤヨマネクフ、シシラトカの幼なじみ。和人の父とアイヌの母を持つ。

 

キサラスイ

対雁村でいちばんの美人と呼ばれる女性。五弦琴(トンコリ)の名手。

 

チコビロー

対雁村に住むアイヌの頭領。

 

バフンケ

樺太・アイ村の頭領。数か所の漁場を経営する実業家。

 

イペカラ

バフンケの養女。亡き母から譲られた五弦琴を弾くことを好む。

 

チュフサンマ

バフンケの姪。流行病で夫と子を失う。

 

ブロニスワフ・ピウスツキ

ポーランド人。ロシア皇帝暗殺を謀った罪でサハリン(樺太)に流刑となる。

 

アレクサンドル・ウリヤノフ

ブロニスワフの大学の先輩で、革命思想の持ち主。レーニンの実兄。

 

レフ・シュテルンベルグ

テロ組織「人民の意志」の残党で、サハリンに住む民族学者。

 

ヴァツワフ・コヴァルスキ

ロシア地理学協会の会員。アイヌの民族調査のため北海道を訪れる。

 

ユゼフ・ピウスツキ

ブロニスワフの弟で、兄に連座してシベリアに流刑。後のポーランド共和国初代元首。

 

金田一京助

東京帝大の学生(後に助教授)。アイヌ語の研究をしている。親友に石川啄木。

 

白瀬矗

陸軍中尉であり、探検家。世界初の南極点到達を目指す。

熱源 より

 

『熱源』の感想

民族差別の歴史の残酷さを知れる1冊

本作はフィクションでありながら

ドキュメンタリー小説を読んでいるように感じるほど

リアリティのある作品です。

 

20以上の文献や、多数の取材協力のもとに書かれた本作は

アイヌの文化や樺太の過酷な風土が

読者の目に浮かぶように描かれています。

 

ヤヨマネクフは子どもの頃から、見えない敵を不気味に思っており

「自分たち(アイヌ)が何に飲み込まれようとしているのかわからない」話しています。

 

アイヌの人々はただ住む場所を追われて

その先で細々と和人の文明ルールに従いながら生き続けます。

 

それはかつての大日本帝国によるアイヌ民族への差別や支配から

ロシア帝国による同化政策などが描かれています。

 

文字や言葉の壁により理不尽なことを言われても

アイヌの人々は、和人やロシアのなすがままにされています。

 

本作は、複雑な民族問題や差別を読者に教え、

そして考えさせてくれる歴史小説です。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

アイヌのことや北方領土のことをはじめ

民族問題や歴史について、関心を持つべきだと思わされました!

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

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