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『破局』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は遠野遥さんの『破局』について紹介をしていきます!

 

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『破局』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと、空虚さを描く純文学です。

 

本書をオススメしたい人

・芥川賞受賞作が気になる人

・純文学が好きな人

・少し不気味な物語が好きな人

 

本作は、第163回芥川賞受賞作品です。

 

都内の大学に通う陽介が公務員試験の勉強をしながら

母校の高校でラグビー部のコーチをしており

政治家を志す恋人の麻衣子とうまくいっていないときに

お笑いライブで同じ大学の後輩である灯と出会うところから始まります。

 

そして作品全体を通して、空虚さを感じます。

 

主人公の淡々とした姿に不気味さを抱く一方で

余計な箇所を省き、目の前で起こる出来事の描写と

陽介の自己分析的な心理描写を行き来しながら、物語は展開していきます。

 

『破局』のあらすじ

あらすじの概要

私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。

破局 より

 

主人公は大学4年生の陽介です。

名門大学の経済学部に通っており

公務員試験を受けるために日々勉強をしたり

筋トレをして体を鍛えたりと、ストイックな人物です。

 

また母校のラグビー部のOBでコーチとして

後輩たちに厳しい指導を行っています。

 

恋人の麻衣子は、将来議員になるため

日々議員の手伝いをしたり、政治塾に通ったりと忙しく

会うことすら難しい状況です。

 

そんななか、大学1年生の灯と出会ったことで、物語は動き出します。

 

主な登場人物

陽介(ようすけ)

私立大学法学部4年生で

公務員志望で筋トレを欠かさないストイックな性格です。

 

佐々木(ささき)

陽介の出身高校のラグビー部顧問です。陽介の親ぐらいの年齢です。

 

膝(ひざ)

陽介と同じ大学の文学部4年生で、お笑い系のサークルに所属しています。

 

灯(あかり)

陽介と同じ大学の商学部一年生。

 

麻衣子(まいこ)

陽介と同じ大学の四年生。政治塾に通っています。

 

本作では1人の男と2人の女が出てきます。

この3人をめぐる恋愛関係が、繰り広げられていきます。

 

ストイックな4年生の男と

忙しい生活を送る4年生と純粋な1年生の女。

 

3人それぞれが自分の心に素直になりながら

時には大胆に、時にはじれったくなるストーリーが展開されます。

 

『破局』の感想

主人公に違和感を抱く作品

あらすじだけを聞くと、とても平凡な日常ですが

物語の序盤から主人公(陽介)に強い違和感を抱きます。

 

主人公は同じルーティンを繰り返す規律の正しい人間です。

そしてマナーを守ることに固執し、

それを破る人に静かな怒りを覚えます。

 

しかしその理由が「地方公務員を目指している身だから」というものであり

自分の欲望や願望に抗うことなく、淡々としており思考停止ともいえるレベルです。

 

一方で、ラグビーや恋など肉体に関わる部分では能動的な衝動をあらわします。

 

また、彼と恋人関係になる2人の女性も、少し怖く

麻衣子はいわゆる高嶺の花タイプの女性ですが

別れた後、陽介とよりを戻そうというわけではなく、部屋を訪れます。

 

もうひとりの恋人の灯は、魔性の女というキャラで

陽介へのアプローチの仕方がかなり巧妙です。

 

終始陽介は人間らしくないのですが

最後、灯と破局を迎えることで、陽介は動揺します。

 

そこで初めて、陽介の人間らしさというか

今まで抑え込んでいた感情が、悲しみと相まって引きずり出されます。

 

陽介が別れ話を切り出してきた恋人に未練がましく

最後に見せる滑稽な姿が、作品を通して1番人間らしいと感じました!

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

文体そのものが魅力的な本作は

ラストシーンで読了感で一気に覆れました!

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

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