こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、小野寺史宜さんの
「君に光刺す」について紹介をしていきます!
『君に光刺す』について
本書の概要
本書はひとことで言うと
人助けをテーマとした心温まる物語です。
本書をオススメしたい人
・人間味のある作品が好きな人
・心温まる物語が好きな人
・小野寺史宜さんが好きな人
本作は、本屋大賞第2位にランクインした「ひと」をはじめ
「まち」「いえ」「タクジョ」などの
心温まる数多くの作品を世に出した小野寺史宜による
「人助け」をテーマとした作品です。
人助けをしたことが原因で教師をやめた主人公が
夜勤のある警備員になってから3年経った頃
ショッピングモールの巡回中に、お婆さんのカバンを盗もうとする
小学生の女の子と出会うところから物語が始まります。
この少女との出会いから子どもの頃の自分のことを思い出し、なぜ教師になったのか。
そして、なぜ教師を辞めたのかを振り返りながら物語は進みます。
『君に光刺す』のあらすじ
あらすじの概要
僕は三年前に小学校の教員を辞めた。
昼間の世界から逃げ込むようにして就いた夜勤の警備員の仕事。
他人と深く関わらずに生きようと決めていたはずだった。
でも、勤務先で置引未遂を起こした女児との出会いが僕の止まっていた時間を動かして……。
損をしてまで誰かを助けることは愚かなことだろうか?挫折した青年の再生と新たな一歩を描く、書下ろし長編小説
君に光刺す より
本作は、教師時代を描く過去の描写と警備員として働く現在の描写が
交互に差し込まれる構成となっています。
春 三十二歳
春から夏 二十八歳
夏 三十二歳
秋から冬 二十九歳
秋 三十三歳
冬から春 二十九歳
春 三十三歳
主人公の石村圭斗は、育児放棄ののシングルマザーである母に育てられ
そこから長野の祖父母へ預けられます。
その後母はガンで急逝し、祖父母や叔母の手助けもあり
大学まで無事卒後すると、東京へ出て教師となります。
教師となり7年が経ったある日
シングルマザーの生徒と保護者を救うためにとった行動で
教師をやめる羽目となります。
そこから警備員として働くようになりますが
施設警備の巡回中にお婆さんの鞄を盗もうとする
小学生の女の子と出会います。
その出会いをきっかけに、教師時代のことを振り返るながら
自分が善と思うことと、世間的に善と思われることのギャップを感じつつ
圭斗自身が、自分の生き方を模索する物語です。
『君に光刺す』の感想
じゃあ自分を誰が助けるの?
母親が育児放棄し、祖父母に育てられた圭斗が
小学校の教師になったがとある事情で退職し、
現在はショッピングモールで警備員の仕事をしています。
そんなある日圭斗はショッピングモール内のゲームセンターで、
置引をしようとしている小学生の少女を見つけました。
捕まえるのではなく、落とし主を探していたというこして
その場はおさめましたが、後日客として訪れた別の商業施設で
また同じ少女の同じ行動をしているのを目にします。
彼はこの少女が辛い境遇にあっていることを知り助けようとしますが
教師を辞めることになった理由も、人助けが理由でした。
また、母親にネグレクトされ親戚の家で育ったことのある彼は
祖父母や叔母に対して気を遣いながらこれまで生きてきました。
だからこそ彼も少女を助けようとし、その行動に後悔も迷いもありません。
しかし本作を読み進めるうちに
本当に助けが必要なのは、圭斗ではないのか?と思うようになります。
圭斗自身、これまでの人生で誰かに助けを呼んだことなく
全てをただ受け入れてきました。
だからこそ本作もそんな圭斗を象徴するように
淡々とした描き方がとても印象的です。
主人公の一人称で物語が進んでいくのですが、感情が高ぶる場面は全くなく
1週間も母親が帰って来なかった過去や
ガスが止められて、1人で孤独になっていた子供時代と
教師になって小学生たちと遊んだという体験や
マッチングアプリで女性と知り合う場面が、同じトーンで語られています。
他にも本作でに圭斗には辛い出来事があることを描かれますが
いずれもただ静かに考えて、行動します。
しかし自分が誰かを助けることもしますが同時に、とても寂しく感じられます。
ですが世の中には圭斗のように
辛い現実を受け入れた上で、人のために動く優しい人がたくさんいます。
本作は、他者に多くを求めずに
自分がしたいからすると考える人たちへのエールです。
幸いにも圭斗のは、孤独な時期もありますが
読み進めるうちに、彼の選択が間違っていなかったと証明されます。
圭斗の周りに圭斗を理解してくれる人がいたからこそ
物語のラストは、タイトル通り光を感じる結末です。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
自分を犠牲にして、他人を思いやる人が
その報われなさに挫折しそうになったときに
エールとなる作品だと感じました!
本書が気になる方は
是非手に取ってみてください!
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