こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、本城雅人さんの
『二律背反』について紹介していきます!
『二律背反』について
本書の概要
本作はひとことで言うと、
勝利と犠牲の狭間で揺れる、球界のミステリーを描いた物語です。
本書をオススメしたい人
・プロ野球ファンの人
・ミステリー小説が好きな人
・人間ドラマが好きな人
本作は、プロ野球チーム・横濱セイバーズの投手コーチである
二見里志を主人公に、球界の闇と人間関係を描いたミステリー小説です。
リーグ優勝を目前に控えたチームの中で、
二見は選手の疲労管理や監督との意見の対立に悩まされます。
そんな中、13年前に球界を追放された先輩・檀野晋の不審死が発覚し、
二見は盟友の無念を晴らすため、事件の真相に迫ることを決意します。
本作は、プロ野球の裏側をリアルに描写しつつ、
ミステリー要素を巧みに組み込んだ作品であり、
スポーツ小説とミステリーの融合が見事に果たされています。
『二律背反』のあらすじ
あらすじの概要
独自のコーチ哲学を貫くプロ野球の投手コーチ二見が
球界の闇 盟友の無念に迫るミステリー
「おれにとってはおまえが正義だ」
十三年前に球界を追放された先輩が不審死を遂げた。
なぜ今になってこの世を去らねばならなかったのかー
二十年ぶりのリーグ優勝を目前にするプロ野球・横濱セイバーズ。
その快進撃の立役者である投手コーチ二見里志は、
抑えの新田隆之介らの疲労管理に頭を悩ませ、リリーフ陣を
酷使したがる辻原監督と衝突が絶えない。
そんな里志のもとに、突然の訃報が届く。里志の現役時代の恩人であり、
ある“罪”の発覚以来、球界を追放されていた盟友・壇野晋が亡くなったという。
当初、自殺と思われていた事件は殺人と発表され……。
「檀さん。これでも俺は、正義の男だと言えるのかーー」
二律背反 より
盟友の死が暴く球界の闇
横濱セイバーズは20年ぶりのリーグ優勝を目前に控えたプロ野球チームであり、
ファンや関係者の期待が高まっているものの、
その裏側では選手やコーチが苛烈なプレッシャーと疲労に晒されています。
投手コーチである二見里志もその一人で、
抑え投手である新田隆之介の起用を巡って監督の辻原とたびたび対立しています。
辻原はリリーフ陣の酷使を厭わない采配で勝利を求める一方、
二見は長期的な選手の保護を重視しているため、両者の関係は険悪です。
そんな中、13年前に不祥事を起こし球界を去った
かつての盟友・檀野晋の死が、二見の心を激しく揺さぶります。
檀野は、かつては球界で成功を収め、
実力者として名を馳せた存在でしたが、突如表舞台から消え去りました。
その理由は暴力団の八百長に関わっており、
それがきっかけで球界から追放されました。
しかし、その檀野が不審死を遂げた理由について、二見は不可解な思いを抱きます。
警察から自殺と結論づけられたにもかかわらず、
檀野が生前に漏らしていた「真実を暴いてほしい」という言葉が、二見の胸中で蘇ります。
この事件の背後に何か重大な秘密が隠されているのではないか。
二見は彼の無念を晴らすため、檀野の過去に関連する人物や、
当時の球界にあった不透明な動きを追跡し始めます。
調査を進める中で、二見は檀野が球界を支える裏方にいる人々とも深く関わりを持っていたこと、
さらには勝利至上主義がもたらす影響や、
選手たちの未来が危うくされている実態に気付かされます。
物語は二見が次第に檀野の死の真相に近づきつつある一方で、
球団内でも優勝を巡るプレッシャーが高まり、事態が錯綜していく展開に入ります。
『二律背反』の感想
野球とミステリーの絶妙な融合
本作は、単なるスポーツ小説にとどまらず、
プロ野球という舞台を通じて人間の弱さや強さ、
そして「勝利」と「選手の保護」という二律背反に迫る人間ドラマとしても秀逸です。
特に、球界の裏側での葛藤や、
スポーツ業界における勝利至上主義がもたらす影響について鋭く描かれており、
登場人物たちの心理描写がとてもリアルです。
二見と檀野、辻原監督のそれぞれの考え方の違いが、
彼らの過去の経験や信念に基づいていることが物語に深みを与え、
読者も彼らの葛藤に共感せざるを得ません。
さらに、ミステリー要素も本作の大きな魅力の1つであり、
読者を飽きさせない巧妙な伏線が随所に散りばめられています。
檀野の死がただの自殺で終わるわけがないと予感させつつも、
真相は意外な形で明らかにされ、その過程で次第に見えてくる球界の裏側や、
勝利を追い求める者たちの暗部が、読者に大きなインパクトを与えます。
また、実際のプロ野球界を想起させる
リアルな描写が散りばめられており、ファンにはたまらない作品です。
一方で、野球に詳しくない読者にとっても、
作品全体のストーリー構成が緻密で飽きることなく読み進められる作品となっています。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
アニメ業界のリアルが綿密に描かれている本書は
とても読み応えのある作品だと感じました!
本書が気になる方は
是非本書を手に取ってみてください!
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