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『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の要約について

ノンフィクション

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、橘玲さんの

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』について紹介をしていきます!

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『言ってはいけない 残酷すぎる真実』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

社会のタブーに科学で斬り込む衝撃的な1冊です。

 

本書をオススメしたい人

・知的好奇心が強い人。

・社会の構造や人間の本質に関心がある人。

・通説やタブーにもとらわれず、真実を追求したい人。

 

本書は、世間にあふれる「人間は平等」「努力は報われる」

「見た目は関係ない」といった綺麗事に真っ向から異を唱える1冊です。

 

本書は2016年に出版されベストセラーとなりました。

 

著者は進化論や遺伝学、脳科学など最新の知見を駆使し、

普段はタブーとされ語られない現実を次々と明らかにしています。

 

これらは「不愉快な真実」ではありますが、

筆者はそれらから目を背けずに直視することこそが社会を良くするために必要だと考えています。

 

本書は大きく三つのテーマ、すなわち

(1) 遺伝と努力の関係、(2) 容姿(美貌)による格差、

(3) 子育てや教育の効果 に沿って構成されており、

各章で豊富なデータや研究結果をもとに論理的な議論が展開されています。

 

『言ってはいけない 残酷すぎる真実』のまとめ

遺伝と努力:それでも遺伝には勝てない?

まず「努力は遺伝に勝てないのか」という問いのもと、

能力や性格における遺伝の影響について議論されています。

 

私たちはつい「努力次第で何とかなる」「育った環境で人は変われる」と信じがちですが、

著者は数多くの研究結果を引き合いに出し、

遺伝的要因が人間の能力や性質に大きな影響を与える事実を示します。

 

たとえば親が明るい性格なら子も明るく、親が陰鬱なら子も暗くなりがちです。

性格が遺伝すること自体は多くの人が受け入れるでしょう。

 

しかし「子どもの性格が暗いのは親から暗い気質を受け継いだからだ」と表現すると

急にタブー視されてしまいます。

 

それは社会に「子どもは明るく元気であるべき」

「暗い性格を遺伝のせいにしてはいけない」という暗黙の規範があるからだと著者は指摘します。

 

つまり、どんな性格であっても本人や親の努力で克服できると信じたいがために、

遺伝の影響を過小評価しようとするバイアスが社会には存在するのです。

 

しかし研究は容赦なく現実を突きつけます。

 

本書によれば、一般的な知能(IQ)は遺伝によって7〜8割が説明できることが

行動遺伝学の研究で示されています。

 

簡単に言えば、知能の大部分は生まれつき決まってしまうということです。

 

これは「努力で知能は向上できる」という信念には反するため、

多くの人にとって受け入れがたい事実でしょう。

 

学校教育の建前は「誰でも努力すれば成績を上げられる」です。

 

しかしもし「知能の低さも遺伝のせいだ」と認めてしまえば、教育の意義が揺らぎます。

 

そのため社会には「劣った知能は遺伝しない」という

一種のイデオロギー(建前)が必要になるのだ、と本書は論じています。

 

さらにショッキングなのは、精神疾患や犯罪傾向まで遺伝の影響が指摘されていることです。

 

例えば統合失調症や双極性障害といった

精神病の遺伝率は80%以上にも達するといいます。

 

身長の遺伝率が約66%、体重で74%という数字と比べると、

精神の特質は身体的な特徴以上に親から遺伝しやすいことになります。

 

これは「心の病は遺伝する」という不愉快な真実ですが、著者は目を背けずに提示します。

 

また「犯罪は凶暴な男の問題」「殺人やレイプを誘発する残酷な真実」といった章では、

進化心理学や脳科学の観点から犯罪行動や暴力性の根底にある生物学的要因が語られます。

 

凶悪犯罪者が生まれる背景には、親や学校の教育の失敗ではなく

先天的に犯罪に走りやすい遺伝的資質があるという研究結果も紹介されています。

 

例えば、心拍数が極端に低い子どもは

将来反社会的行動に陥る率が高いといったデータも示され、

犯罪傾向ですら持って生まれた特性に影響される可能性が論じられているのです。

 

こうした遺伝と能力・行動の話は一見「残酷」で絶望的にも思えます。

 

しかし著者は、これらの事実から何を読み取るかが重要だと強調します。

 

不都合な現実を直視した上で、では

我々はどう行動すべきかを考えるべきだという姿勢です。

 

実際、本書の中では「精神病のリスクを持つ夫婦がその事実を知ったとき、

産むかどうか判断するのは本人たちだが、

その決断は願望ではなく正しい知識に基づくべきだ」という主旨の述懐があります。

 

たとえ遺伝によるハンデキャップがあったとしても、

それを知らずにいるより知った上で備えた方が良いというのが著者の考えなのです。

 

現実から目を背けず事実を受け止めることが、

より良い選択への第一歩だと本書は教えてくれます。

 

容姿と性差:美貌格差と男女の本質

「美貌格差」すなわち容姿の優劣によって人生に大きな差が生じる現実について語られます。

 

誰しも「外見で人を判断してはいけない」と言いますが、

統計的なデータは見た目が人生を左右することを示しています。

 

本書によれば、容姿が平均以上に恵まれている女性と平均以下の女性とでは、

生涯賃金にして約3,600万円もの差がつくというのです。

 

また興味深いことに、この「美貌格差」の最大の被害者は男性であると著者は指摘します。

 

一般的に容姿の話題は女性の方がクローズアップされがちですが、

実は魅力に欠ける容姿の男性こそが最も大きな不利益を被っているというのです。

 

容姿が劣る男性は恋愛や就職などあらゆる面で不利になりやすく、

その影響は女性以上に深刻かもしれないという残酷な指摘です。

 

本書ではこの他にも、容姿にまつわる様々な研究が紹介されています。

 

顔写真から性格や将来のことが分かってしまうという研究では、

初対面のわずかな直感(第一印象)が意外と当たっているというデータがあります。

 

さらには経営者の顔つきと会社業績との関連性に関する分析まで、興味深い話題が満載です。

 

人は見た目が9割…とまでは言い切れないまでも、

見た目がもたらす得・損が実際にあることをデータが示しています。

 

そして「容姿による差別」を生み出しているのは

個人の偏見というより市場原理の働きであるとも論じられます。

 

美しい人が得をし醜い人が損をするのは、

企業活動や消費行動の中で容姿が価値を生んでしまうためであり、

もはやそれは社会構造的な問題だという示唆です。

 

また、容姿の問題から発展して男女の生物学的な違いについても踏み込んでいます。

 

「男と女は生まれながらにして違っている」という基本的事実から説き起こし、

男女それぞれが求める幸せの優先順位は異なることが示されています。

 

男性は競争や極端な成果を追い求めがちなのに対し、

女性は平均的な安定を重視するといった傾向があるとも言われます。

 

本書では「男らしさ」「女らしさ」の正体や、

愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが母性に与える影響など、

進化生物学や心理学の知見から性差の起源を探っています。

 

例えば女子校では共学に比べて望まない妊娠が少ない理由を分析し、

環境が性行動に与える影響を論じるといった具体例も示されています。

 

また、性的なテーマについても本書は遠慮なく切り込んでいます。

 

結婚相手選びやセックスに潜む進化論的な「残酷な現実」も赤裸々に語られるのです。

 

例えば「一夫多妻と一夫一妻、どちらが得か?」という問いに始まり、

動物行動学の視点から人間の本性を考察します。

 

メス(女性)の巧妙な戦略や、人間社会において

避妊法の普及が皮肉にも望まない妊娠の増加を招いているという指摘、

「学歴の低い未婚女性が余ってしまう理由」など、データに基づいた興味深い議論が続きます。

 

さらには「女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?」という刺激的なテーマまで取り上げ、

人間と他の霊長類(チンパンジーやボノボ)の比較から人間の性の進化を考えています。

 

子育てと教育:遺伝子が描く人生?

「子育てや教育は子どもの成長に関係ない」というショッキングなテーマが掲げられています。

 

ここでは主に、子どもの人格や才能の形成における遺伝と環境の影響について論じられます。

 

昔から「血筋」とか「家柄」といった言葉があるように、

人は無意識に「良い家に生まれれば成功する」

「汚れた血では成功できない」という偏見を持ってきました。

 

しかし現代の科学が明らかにするのは、遺伝で受け継がれるものとそうでないものがあり、

それは我々の考える以上に複雑だということです。

 

双生児の研究では、たとえ離れて育てられた一卵性双生児でも

驚くほど似通った人生を歩む例がある一方で、

同じ遺伝子を持っていても環境次第でまったく異なる人格になるケースも確認されています。

 

本書では「氏(遺伝)が半分、育ちが半分」といった俗説の真偽を検証し、

言語や宗教、味覚の嗜好などが遺伝と環境の

どちらで決まるのかといった具体的なトピックも紹介されています。

 

特に著者が強調するのは、親の影響力の限界です。

 

多くの親は「自分の育て方次第で子どもの将来が決まる」と信じて一生懸命に子育てをします。

 

しかし本書の示す現実は「子どもの人格・能力形成において、

家庭での教育(しつけ)はほとんど無力に近い」というものです。

 

たとえば、世間には子どもの頭を良くする教育法が溢れていますが、

研究によれば人間の知能は遺伝による割合がかなり大きく、

結局のところ親がどんなに早期教育に熱心でも、

子どもの知的能力には生まれつきの差が残ることが示唆されます。

 

また学業の成功を決めるもう一つの重要な要素は

子ども同士の社会関係であるともいいます。

 

つまり、学校や遊び仲間の中で「たまたま自分が勉強のできるキャラになる」ことが、

その子の学習意欲を高め成績向上につながるのであって、

親の干渉よりも子ども自身が属するコミュニティ内での役割が影響するというのです。

 

この指摘は子育て中の親には残酷に聞こえますが、

同時にプレッシャーから解放してくれる側面もあります。

 

著者自身も「どう育てようと、子どもの将来は結局、遺伝的な資質と

偶発的な人間関係でほとんど決まってしまうのだから、

親がいちいち責任を感じても仕方ない」と述べています。

 

さらに本書では、「選抜された22人の少年たち」の実験や

「黒人少年が生き延びるたったひとつの方法」など、

環境要因が子どもの将来に影響を与える具体例も取り上げられています。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

本書の内容は、一見すると世の中の夢や希望を

打ち砕くような内容に感じられるかもしれません。

 

しかし読み終えた後には、不思議と前向きな気持ちも芽生えてきます。

それは、著者が伝えたかった本質が「残酷な真実そのもの」ではなく、

その真実を踏まえてどう生きるかという問いだからです。

 

本書が気になる方は、是非手に取ってみてください!

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