こんにちは！しょーてぃーです！
今回は、浅倉秋成さんの
『俺ではない炎上』について紹介をしていきます！
『俺ではない炎上』について
本書の概要
本書は2022年本屋大賞で
5位にノミネートされた
『六人の嘘つきな大学生』 の作者による
炎上逃亡ミステリーになります。
本書をオススメしたい人
・ミステリーが好きな人
・どんでん返しが好きな人
・伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」が好きな人
本作は、無実の男が
殺人の罪をなすりつけられて
逃亡するというストーリーです。
逃亡者の主人公と
主人公を追いかける大学生と
主人公の娘と捜査中の警察官の
4つの視点から物語が進みます。
SNSの炎上がテーマであり
最後には読者を圧倒する
どんでん返しがたまらない
ミステリー小説です。
『俺ではない炎上』のあらすじ
あらすじの概要
外回り中の大帝ハウス大善支社営業部長・山縣泰介のもとに、
支社長から緊急の電話が入った。
「とにかくすぐ戻れ。絶対に裏口から」
どうやら泰介が「女子大生殺害犯」であるとされて、すでに実名、写真付きで
ネットに素性が晒され、大炎上しているらしい。
Twitterで犯行を自慢していたようだが、
そのアカウントが泰介のものであると誤認されてしまったのだ。
誤解はすぐに解けるだろうと楽観視していたが、当該アカウントは実に巧妙で、
見れば見るほど泰介のものとしか思えず、誰一人として言い分を信じてくれない。
会社も、友人も、家族でさえも……。
ほんの数時間にして日本中の人間が敵になり、誰も彼もに追いかけられ、
ともすると殺されそうになる中、泰介は必死の逃亡を続ける。
引用元：俺ではない炎上
主な登場人物
以下が本作の主な登場人物です。
・山縣泰介（やまがたたいすけ）
大帝ハウス大善支社営業部長。
SNSの成りすましにより
殺人犯にされてしまいます。
・住吉初羽馬（すみよししょうま）
大学生で社会派サークルのリーダーです。
【血の海地獄】のツイートをリツイートし
事件の発端となります。
サクラと一緒に山縣泰介の行方を追います。
・山縣芙由子（やまがたふゆこ）
泰介の妻で
警察の聞き取り調査に協力します。
・山縣夏実（やまがたなつみ）
泰介の娘で、出会い系サイトで
トラブルを起こした過去があります。
・野井
泰介の部下でツイートが拡散された頃
泰介と共に営業していました。
・青江
泰介の取引先会社の営業担当です。
・堀健比古（ほりたけひこ）
大善署の刑事です。
女子大生殺害事件の捜査で
とある疑問を抱きます。
・六浦（むつうら）
県警捜査一課所属です。
堀と一緒に女子大生殺害事件について捜査します。
・篠田美沙
21歳大学生で、殺害事件の被害者です。
・サクラ(んぼ)
「ネットで出会いを考えるシンポジウム」の参加者です。
篠田美沙の親友と言い、初羽馬と一緒に
山縣泰介の行方を追います。
・江波戸琢哉（えばとたくや）
夏実のクラスメイトです。
えばたんと周りから呼ばれていて
建築士を目指しています。
ネタバレを含むあらすじ
本作は、二度読み必至です！
1度しか読まないと、脳内が「??」となるくらい
トリックが秀逸で
伏線回収とどんでん返しが半端無いです。
主人公の逃亡劇
本作の前半部分は
無実の罪を着せられた泰介が
逃亡するシーンが中心です。
伊坂幸太郎さんの
「ゴールデンスランバー」のような
主人公が逃亡する姿に緊張感を感じます！
泰介が逃亡するシーンでは
泰介の特徴をよく活かされている！感じました。
泰介の趣味はランニングとゴルフです。
車はネット中にバレていることもあり
乗り捨てを覚悟し、
そこから淡々と走り出し
捜査対象の包囲網を突破します。
また、ネタとして泰介を捕まえようとする
YouTuberたちから逃げる場面でも
ゴルフグッズを使い機器を乗り切りました。
また、逃げ回る最中で泰介が諦めず
犯人を自らの手で追い詰めようとする姿は
読者が応援したくなります！
真犯人追求までの伏線とミスリードの数々
泰介のSNSになりすました
真犯人が判明するまで
数々の伏線とミスリードが仕掛けられています。
泰介のSNSを乗っ取ったのは
娘の真実でした。
殺害事件の犯人も真実だと
読者に思わせるような構成ですが
これはミスリードです。
犯人は別にいて、
真犯人は真実の小学校時代の
クラスメイトの江波戸琢哉でした。
「小学生がなんで？」と
読み進めていく内に
読者は混乱していきます。
そしてラストにかけて
怒涛の伏線回収が行われていき
トリックが分かると鳥肌ものです！
1番のトリックは、時間のズレです。
つまり、山縣真実の語りが
現在ではなく10年前のものです。
しかし作中では
進行形の物語と錯覚させるように描かれており
そこがミスリードを誘う大きな仕掛けです。
本作での仕掛けは以下になります。
①スターポートの展望台ライトアップ
18時からライトアップされる時間も
一緒ですが、よく見るとイベント告知文に
「復刻」の文字があります。
つまり、10年前のライトアップと
現在のライトアップが
重なるように書かれています。
②「翡翠の雷霆」のピンバッジを付けた青年
山縣真実の語りに出てくる青年と
住吉初羽馬の語りに出てくる人物は別人でした。
住吉初羽馬の語りに出てくるのは、
10年前に大学生からもらった
ピンバッジを付けたえばたんが
成長した現代の姿です。
③山縣真実が巻き込まれた事件
山縣真実の語りに出てくる事件は
女子大生殺害事件ではなく
真実が被害に遭いかけた性被害事件です。
家族が巻き込まれたと書くことで
ついつい混同してしまいます。
『俺ではない炎上』の感想
SNSと炎上の怖さ
無実である山縣泰介が
なしすましのアカウントによって
殺人事件の濡れ衣を着せられます。
ですが、ただの間違いではなく
なしすましのアカウントによる
炎上であることに
恐ろしさを感じました。
見ず知らずの人間がTwitterで
自分の意見があたかも正しいと思い
ボロカス言うあたりは
ものすごくリアルさを感じました。
このなりすましと炎上について
著者の浅倉さんは、以下のように述べています。
現代における最大のいやがらせはなんだろうと考えたとき、
陥れたい相手になりすましたSNS上で悪さするのが
一番じゃないかと思ったんですよね（笑）。
本人を知っている人がよく読めばその人だとわかる情報ばかりなのに、
オープンにしているわけじゃない。でもその感じが、逆に、本物っぽい。
という絶妙ななりすましアカウントが悪さをしたら、
きっと手の打ちようがないだろうなという思いつきが繋がって、
本作の骨子ができあがりました。
とりもなおさず人はわかりやすい物語しか理解することができないんだなあというのは、
今作を書くにあたって改めて考えました。たとえば、炎上の度合いでいうなら、
カルロス・ゴーンより不倫した芸能人のほうが強く叩かれているような気がするんですよ。
それは、カルロス・ゴーンがいったいどんな罪を犯して、どういう問題が発生しているのか、
しっかりと理解している人が少ないからなんじゃないかと思うんですよね。
対して不倫は「絶対にだめ！」と否定しやすいし
「不倫している奴はどうせこういう心情なんだろう」と決めつけやすい。
実際は、他人が思うほど物事はシンプルに運ばないし、
不倫している人にだってそれぞれ事情と言い分があるわけでしょう。
角度を変えてみれば、不倫した人のほうが被害者であるケースだってあるかもしれない。
僕だって、他者をすぐにカテゴライズして決めつけてしまうところがある。
その矛盾は誰しも抱えているものだと自覚して、常に自分を戒めておかねばと思うんです。
この小説で、そんな説教くさいことを言いたかったわけでもないですけど。
引用元：俺ではない炎上インタビュー
見事になりすましと炎上の恐ろしさを
まざまざと感じさせられました。
2度読み必須！！
本作は1度で全てを理解するのは
到底難しいです。
ネタバレの箇所でも記載しましたが
真実のストーリーだけでも
もう1度読まないと
トリックと伏線の意味が全く分かりません！
だからこそ、何度も読み
トリックや伏線の意味が分かることで
鳥肌が立ってしまう本作は
ミステリーの真骨頂だと感じました。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
トリックや伏線回収の凄さと
ミステリー作品としての
素晴らしさを感じた作品です！
本書が気になる方は
是非手に取ってみてください！
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