こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、早見和真さんの
『イノセント・デイズ』について紹介をしていきます!
『イノセント・デイズ』について
本書の概要
本書は、早見和真さんの
代表作でもある1冊です。
死刑囚になった主人公が
読み進めるにつれて
真相が分かり、衝撃が走る物語です。
本書をオススメしたい人
・ミステリーが好きな人
・サスペンスが好きな人
・衝撃的な展開が好きな人
本書は、ミステリー作品としては
もちろんおもしろいのですが
それ以上に読者に考えさせる作品です。
世間が知っている事実やイメージと
実際の真相は全く違うという衝撃に
度肝を抜かれます!!
衝撃的な結末の後は
「幸せとはなに?」と自問自答したくなります。
『イノセント・デイズ』のあらすじ
あらすじの概要
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、
彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。
産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら
彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、
そしてあまりにも哀しい真実。
幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、
彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
引用元:イノセント・デイズ
主な登場人物
・田中幸乃(たなかゆきの)
放火殺人犯の死刑囚。
報道で有名になります。
・佐々木慎一(ささきしんいち)
幸乃の幼なじみ。
元ひきこもりで、幸乃の無実を信じています。
・小曽根理子(おぞねりこ)
幸乃の中学時代の友人で
翻訳家を目指していました。
・丹下翔
幸乃の幼馴染で弁護士です。
幸乃の支援者ではありますが
慎一とは違って、犯人は幸乃だと思っています。
・井上敬介
幸乃の元恋人で被害者遺族。
夜勤に出ていたため
放火には巻き込まれませんでした。
・草部老人
井上家が入居している
アパートのオーナーです。
幸乃とは面識があり
比較的同情的な立場です。
・謎の老婆と金髪の少年
裁判の傍聴席で目撃されています。
当時、老婆はとメディアに出演し
幸乃の凶行を批判していました。
・佐渡山瞳
女性刑務官。
幸乃のことを気にかけています。
ネタバレを含むあらすじ
以下からはネタバレを含むあらすじになります。
狂った放火殺人犯
ある日のニュースで
幸薄そうな女性が
放火殺人をしたという報道がされました。
放火犯は、田中幸乃といい
元恋人である敬介さんの
ストーカーをして、気が狂った末
放火に手を染めたという報道内容でした。
その後は彼女が
私生児として生まれたことや
養父からの虐待があったこと
強盗致傷事件を起こしたこと
放火前に整形をしていたことなどの
事実が次々と明らかになり
報道は加熱していきます。
被害者遺族の声も凄く
世間からも死刑にするべきだと
言われる程でした。
さらにワイドショーでは
「整形シンデレラ殺人事件」と命名され
裁判員制度初の
女性死刑囚が誕生したこともあり
田中幸乃は注目を集めます。
しかし、田中幸乃に出会ったことのある人たちは
その報道に違和感を覚えていました。
同時に彼女が死刑判決を受け入れたことで
ホッとする人も少なくありませんでした。
彼女の半生と報道は
また違ったものでした。
幼少期の幸乃
幼少期の幸乃は、
病弱ながらも幸せな家庭で育ちました。
私生児でしたが養父にも愛され
連れ子で1つ年上の姉とも仲良しでした。
ですが、ある日
母親が運転中に持病を引き起こし
交通事故で亡くなります。
その影響で父親は
やめていたお酒を飲み
「必要なのはお前じゃない」と
1度だけ幸乃の顔を殴りました。
このことが何故か近所に伝わり
父親が虐待をしているという噂になります。
こうして幸乃は結局
母方の祖母に引き取られることになりました。
引っ越し先は宝町という
低所得者層が集まる町でした。
幸乃はそこから中学生となり
理子というクラスメイトと友達になります。
しかし、理子は不良グループにも
属するような女の子で
グループから仲間はずれにされるのが怖くて
金目のものをプレゼントしていいました。
そんなある日
理子と幸乃は古本屋に行きます。
そこで、誰もいないレジに
理子は手を伸ばしました。
お金は盗まなかったものの
それを店主の老婆に見られ
とっさに突き飛ばします。
この古本屋では
多くの窃盗事件が起こっていて
その犯人が理子だと店主は思いました。
このままでは捕まると思った理子は
まだ少年法に引っかからない
13歳の幸乃に身代わりを頼んで
自分だけ逃げて行きました。
敬介と幸乃の関係
強盗致傷事件の身代わりとなった幸乃は
その後、児童自立支援施設で育ちます。
そこから幸乃は20歳となり
敬介と付き合います。
しかし、敬介はパチスロにハマり
幸乃にお金をたくさん借ります。
それだけでなく
暴力もふるうような男でした。
ですが、幸乃は
自分を必要としてくれるのは
敬介しかいないと思い
尽くすようになります。
しかし、敬介は新しい彼女が
出来て変わります。
彼女との未来を考えて
幸乃に別れを告げます。
今まで尽くしてきたのに
言葉の意味が理解出来なかった幸乃は
別れを拒みます。
しかし敬介は
住所も電話番号もかえて
妻と双子の赤ちゃんと
新しい生活を始めました。
しかし、友達からの助言で
幸乃への借金返済は
ネット銀行から欠かさずしていました。
ある時、うっかり自宅近くの銀行から入金すると
幸乃はそれを調べて
敬介の自宅までたどり着きます。
何をしているんだろうと
自分を咎める幸乃でしたが
鬱が再発して
自分が壊れるような感覚になります。
死刑執行
佐々木慎一は
幸乃の幼なじみでした。
彼だけは、雪乃がこんな事件を
起こすはずがないと信じていました。
なぜなら、中学生の頃に
古本屋で窃盗を繰り返していたのは
慎一自身だったからです。
彼は、幸乃が
また誰かの罪を被っていると
直感的に分かりました。
そして、友人たちの聞き込みから
ある人物にたどり着きます。
それは、幸乃の裁判を傍聴していた
老婆と金髪の少年です。
実は、放火殺人の真犯人は
金髪の少年でした。
そして、金髪の少年は
自分の罪に耐えきれず
自殺をしてしまいました。
彼の三回忌を終え
老婆も事実を公表しなければならないと
やっと真実に向き合う覚悟が出来ます。
やっと突き止めた真実に
慎一は喜びました。
そしてこの事実を
幸乃に知らせようとしますが
時が遅すぎました。
幸乃の死刑は
執行されてしまいました。
幸乃は死ぬことを
ずっと待ち続けていました。
しかし、自殺をしてはいけないと
人から言われたことから
どうやって死んだらいいかを
ずっと考えていました。
慎一の想いが届くことはなく
幸乃の人生は終えました。
『イノセント・デイズ』の感想
バッドエンドでありハッピーエンド
衝撃的なのは、幸乃が望んで
処刑されたという結末です。
最後には慎一が幸乃を助けて
無実が証明されてハッピーエンドになると
思っていた分、処刑された結末に
驚きが隠せませんでした。
不幸続きの幸乃の人生が
報われないまま終えるのは
救いがないと感じました。
ですが、この結末は
幸乃にとっては
バッドエンドではありません。
幸乃の立場になると
彼女は最後に「心からの願い」を
叶えることができました。
今まで周りに振り回され
濡れ衣を着せられた人生で
最後の最後に、自分の意思で
処刑を選ぶ姿には
複雑な心境から涙が出てしまいました。
そう考えると
自分の意思とは異なったまま
生きていくことが
幸乃にとって
バッドエンドだと思いました。
それを自身の意志で回避して
しっかりと成し遂げたので
幸乃にとっては満足して
最期を迎えたはずだと思いました。
また、普段見ている報道は
何が真実なんだと
疑うきっかけにもなります。
報道一つで
人の人生なんて簡単に変わるし
それに踊らされてる人も
加害者の一員なんだなと
痛感させられる作品でした。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
読書が予想する展開とは
まったく違う結末には衝撃が走ります!
そして「幸せとは何か?」と
本作では、深いテーマを含んだ
考えさせられる作品でした。
本書が気になる方は
是非手に取ってみてください!
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