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『1R1分34秒』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、町屋良平さんの

『1R1分34秒』を紹介していきます!

 

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『1R1分34秒』について 

本書の概要

本書は2019年に

第160回芥川賞を受賞した作品です。

 

考えすぎてなかなか勝てないプロボクサーが

モチベーションを取り戻して再起する物語です。

 

本書をオススメしたい人

・挫折から這い上がる話が好きな人

・主人公に共感したい人

・芥川賞受賞作が気になる人

 

デビュー戦は初回KOと華々しかったものの

その後は2敗1分けと負け癖のついてしまった

プロボクサーの物語です。

 

ある日、トレーナーが変わったことをきっかけに

ボクシングや自分との向き合い方を変えていきます。

 

主人公の心境の変化により

行動も変化していき

ボクサーだけでなく

人として成長していく青春小説です。

 

1度挫折した主人公が

這い上がっていく姿に

読者は思わず

「頑張れ!」と応援したくなります。

 

『1R1分34秒』のあらすじ

以下ネタバレを含んだものになります!

 

負け癖のある「ぼく」

プロボクサーである

21歳の「ぼく」は

デビュー戦を初回KOで華々しく飾るも

その後は2敗1分けと勝てずにいます。

 

そんな「ぼく」は次の試合を控えています。

 

ぼくは試合前になると

相手をとことん分析します。

 

SNS、ブログ、

通っているジム周辺の環境なども

チェックしまうせいか

最終的に、夢の中で

対戦相手と親友になってしまいます。

 

今回の対戦相手である「近藤青志」も

夢の中で互いに切磋琢磨し合い

友情を育んでしまいます。

 

しかし現実はそんなこと関係なく

リングの上で対峙して試合に負けると

勝手に相手に裏切られた気持ちになります。

 

そしてぼくは、その試合のビデオを見て

「あの時こうしていれば」と何度も考えます。

 

さらに、負ける自分を見ながら

「がんばれがんばれ」と応援して涙を流します。

 

ウメキチとの出会い

ある日ジムへ行くとトレーナーから

「ちょっと、しばらくおれ忙しいからさ

 ウメキチについてもらおうぜ」と言いました。

 

勝てない「ぼく」は

トレーナーに見捨てられたのです。

 

新しくパートナーになったウメキチは

「ぼく」の試合を欠かさず観ていて

「君のボクシングに関心がある」と言います。

 

また、「ぼく」の思考もよく分析していたので

ウメキチと話していると

「ぼく」の心を読んでいるかのように

先読みして話しかけます。

 

実際に指導が始まりますが

ウメキチの指示は自分の考えと相反して

納得できず、思わず反発してしまいます。

 

すると、ウメキチは

「お前は勝ちたいのか?

 きれいなボクシングにしがみつきたいのか?」と

ぼくに問いました。

 

さらに「お前を勝たせたい。

まだまだ勝てるお前の才能に嫉妬している」と

ウメキチからの言葉に

気付くと「ぼく」は涙を流していました。

 

『1R1分34秒』の感想

繊細なボクサー

なんと言ってもこの物語のメインは

主人公「ぼく」の変化です。

 

序盤では対戦相手のことを

分析して対策しようとするも

間違った方向に進んでしまいます。

 

そして、自分の特性が分からないまま

勝敗が決まるので

自分に自信が持てないのです。

 

内心では「勝ちたい」と思うも

不器用な性格なため

素質を無駄にしています。

 

ですが、ウメキチと出会って

練習方法、日頃の生活から見直すことで

「不器用な自分」と向き合います。

 

そして、悩みや葛藤や弱さのようなものと向き合い

逃げ出したくなる気持ちを堪えて

進んでいく「ぼく」の姿には、とても心が動かされます。

 

人間関係の相性

「ぼく」を支えたのは

ウメキチと唯一の友だちの存在が大きいです。

 

ウメキチに関しては

前のトレーナーとは違って

「ぼく」に魅力を感じているからこそ

真っ直ぐに「ぼく」と向き合います。

 

「ぼく」の癖を見抜くだけでなく

強みを生かした戦い方に変えようとします。

 

そして反発する自信のない「ぼく」に

「俺は、まだまだ勝てるお前の才能に嫉妬している」と

真っ直ぐに自分の気持ちを伝えることで「ぼく」は

ウメキチの言葉を信じたいと思うようになります。

 

また、唯一の友だちは一応大学生ですが

学校にはほとんど行かずに

iPhoneで映像を撮り溜め

その映像を使って映画を作るのが趣味です。

 

そんな友だちは、たまに「ぼく」を

美術館などに誘って連れ出してくれます。

 

また、「ぼく」の試合が決まると

必ず小旅行に連れていくなど

孤独な「ぼく」の心の拠り所の1つでした。

 

そんな友だちはが回すカメラの前だけ

「ぼく」は本心を話すことができました。

 

反対に、ジムに見学に来ていた

女の子に「ぼく」はナンパをして

関係を持つようになりますが

最終的には

「試合前のボクサーに付き合うのは大変である」を理由に

関係を終わらせます。

 

「ぼく」にとって

ウメキチと友だちは良い人間関係で

以前のトレーナーと女の子は

合わない人間関係でした。

 

自分に合う人間関係を持つことで

ここまで人間は好転するのか

 

主人公が不器用であるからこそ

本書を通じて人間関係の選別の

重要性を感じました。

 

勝つことへの執念を覚える

ウメキチの指導は

試合が迫るごとにハードになります。

 

また「ぼく」自身も

疲労がピークであり情緒も不安定になります。

 

これまでの試合前の

疲労や精神状態とは比べられないほど

辛くて投げ出したくなるものでした。

 

相変わらず試合前には

対戦相手と友達になる夢を見て

激しい減量によりストレスが溜まり切り

人格崩壊寸前「ぼく」でしたが

それでも勝ちたいと執念を強く持ちました。

 

試合数日前の記憶どころか

それ以前の記憶すらも全てないように

感じていました。

 

しかし、試合に負けたら

ここまで頑張った自分を失うのかもしれないと感じて

「ぼく」は絶対に勝つという信念しかなかったのです。

 

人間が変わることは

本当に大変ですし、簡単に変われませんが

それでも「変わるんだ!」という信念を持って

欲や不安に打ち勝つことで

変われるんだなと、強く心を打たれました。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

文章がとても簡潔で

スラスラと読める作品でした。

 

私と同様で、ボクシングを全く知らない人でも

ボクサーの苦悩を感じることができます。

 

仲間と切磋琢磨して

自分の殻を破る「ぼく」の姿には

本当に心を打たれます。

 

自分の殻を破った「ぼく」の試合結果と

その後のラスト数行には

「おぉ!!」となってしまいます。

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

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