こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、小林裕児さんの
『罰ゲーム化する管理職』について紹介をしていきます!
『罰ゲーム化する管理職』について
本書の概要
本書はひとことで言うと
「管理職の過酷さ」を教えてくれる1冊です。
本書をオススメしたい人
・管理職の実態を知りたい人
・管理職の人
・管理職を目指している人
一昔前は管理職になることは
自分の努力が認められた気がして嬉しいことでしたが
現代では管理職を断る人が増えてきています。
実際に、パーソル総合研究所のデータによると
他の国と比べて、日本で管理職になりたいと思っている人はとても少ないです。
また、新入社員に関しても、一昔前より昇進に対して
あまり興味を持たない人が増えています。
このような現象が起きている理由として、年々管理職が大変になっているからです。
1989年までは管理職自体の人数が多かったため
一人当たりが管理する部下の数や仕事量はそこまで多くありませんでした。
しかし1990年以降にバブル崩壊を機に不景気になってからは
管理職の数が減り、非正規雇用者の数が増えたため
管理職一人当たりが見る部下の数や仕事量が年々増えています。
また管理職になっても、あまり賃金が増えなかったり
ストレスが溜まって自殺率が高まるなど
何かと管理職は過酷な状況に置かれています。
そのため著者は「今の管理職は罰ゲーム化している」と指摘しています。
本書では、パーソル総合研究所の研究員である著者による
管理職の過酷さが解説された1冊です。
『罰ゲーム化する管理職』のまとめ
管理職になった途端、仕事が増える
管理職が罰ゲーム化している理由は、大きく4つあります。
1つ目はシンプルに管理職になった途端、仕事量が増えるからです。
日本ではプレイングマネジャーと呼ばれる
今まで通り自分もプレイヤーとして、現場の仕事をしっかりしながら
プラスαで、管理職として部下の管理やトラブルの解決、
マネジメント業務を行う立場が多いです。
実際に、産業能率大学のデータによると
プレイヤーとしての役割が全くない課長はわずか1.5%で
98.5%の管理職が、プレイヤーとマネージャーを掛け持ちしていることが分かっており
管理職になることで、単純に業務量が増える実態です。
また現代は非正規雇用が増えているため
部下の数も昔より桁違いに多かったり、
部下への接し方を間違えるとハラスメントになりかねないです。
他にも人手不足、後継者不足で人に辞められるのは避けたいですし
上司から売上目標を達成するよう詰められたりなど
管理職は板挟みになり、過酷な状況に追い込まれています。
そのため管理職になると
「なぜこれほど仕事が降ってくるのか」「なぜ部下は自発的に動いてくれないのか」
「なぜこの状況で会社は助けてくれないのか」といった不満が溢れ出てきます。
管理職になっても給料はそこまで増えない
管理職が罰ゲーム化している理由の2つ目は
管理職になっても大して賃金が増えないからです。
昨今、新入社員の給料がどんどん上がってきているのに対して
管理職の賃金はあまり上がっていません。
実際に、厚生労働省が集計した
一般従業員の賃金と比較して、部長の賃金は約1.9倍、
課長の賃金は約1.6倍、係長の賃金は約1.3倍ほどでした。
ちなみに、管理職になると残業手当がつかない会社も多いそうで
在位業が多い月には、一般社員が管理職以上の給与をもらうことが
会社によって頻繁に起こっていると著者は指摘しています。
このように管理職になると、賃金は上がりますが
増えた負担に見合うだけの賃上げがされるわけではなく
残業代がつかなくなることも多いので厳しい状況です。
ストレスが多くて死亡率が高い
管理職が罰ゲーム化している理由の3つ目は
管理職になることで死亡率が高くなるからです。
実際に、労働政策研究・研修機構の論文によると
1995年から2010年にかけて専門職や事務職、サービス職の
死亡率が下がっているのに対して、管理職の死亡率だけが上がっています。
特に増えた死因が自殺になります。
かなりのストレスと過労、増えすぎた仕事量、
管理職になったことで弱音が吐けなくなる孤独も重なったことで
このような悲しい結果になっています。
ちなみに世界でも、日本と韓国の管理職だけが死亡率が高く
他の国では管理職になる人ほど、食事に気をつけたり、
ジムに通ったりするため死亡率が下がっています。
管理職になると転職、副業ができなくなると思う
管理職が罰ゲーム化している理由の4つ目は
管理職になると転職や副業がしづらくなるからです。
管理職になると専門性を持った職人というよりかは
部下のマネジメントや雑用に時間を使う機会が増えるので
自分の専門性が落ちてしまいます。
転職市場では、管理職経験もそうですが
やはり専門性のある人材の方が需要があるため
仮に「御社で部長ならできます」「マネジメントならできます」だけだと
なかなか転職することが難しいです。
他にも最近は「家族との時間が大事なので断ります」
「趣味のサーフィンのために海沿いに家を買うので管理職はなりません」
「副業で稼いでいるので管理職をやりません」という男性が
続々と現れていることも著者は指摘しています。
男性は管理職だとモテて、結婚すると家計の大黒柱になる
管理職が罰ゲーム化しているのにも関わらず
いまだに管理職になりたい人がいる理由についても解説されています。
結論からいうと、男性は管理職になればモテますし
結婚すると「家計の大黒柱にならないといけない」という責任感が強くなります。
未婚でも男性は「仕事ができる」「管理職になる」というのは
異性からモテる1つの要素になります。
実際に、パーソル総合研究所のデータ によると
未婚の段階から男性の方が管理職になりたいと思っている割合が多いです。
この気持ちの差があるので、日本で管理職になる女性は極めて少ないです。
本書では「負荷が上がりすぎた管理職は、女性にとって罰ゲームを超えた無理ゲーになり、
逆に男性にとっては覚悟を決めて挑むもの」になっていると書かれています。
マイクロマネジメントをしない
管理職の負荷を減らすために、個人ができる方法はいくつかあります。
1つ目は、マイクロマネジメントをしないことです。
マイクロマネジメントとは、管理職や上司が部下の仕事を
細かくチェックしたり、管理しすぎたりすることです。
実際に、部下の仕事を細かくチェックする上司ほど
負担が大きいことが分かっています。
またマイクロマネジメントをすると、部下が自分で考えることなく
いつも指示待ち状態になったり、指示に反発するようになったりします。
そのため、忙しくてもマイクロマネジメントをするのはNGで
部下や現場にある程度の権限を渡して任せることが
自分の負荷を下げる意味でも大事になります。
しかし、マイクロマネジメントをしないことはかなり難しいです。
その理由はいくつかありますが
まず管理職に選ばれる人は真面目で仕事ができる人が多いので
部下の仕事が目に余ることが多いですし
「ここで失敗するだろうな」「こうなるだろうな」と先が読めてしまいます。
そのため上司は「こうして」「あれもして」など、ついつい口出しをしてしまいます。
ただし、この状態だと結局自分がずっと指示を出し続ける必要があるので
いつまでも気が休まることがありません。
なので、完璧を手放して、部下や他人に任せることがポイントです。
管理職の仲間を作る
負荷を減らすための2つ目の方法は、仲間を作ることです。
管理職の死亡率が高い1つの理由に孤独感があります。
管理職はリーダーで上の立場になるので
部下に相談したり、弱音を見せることが難しく
同じ立場で共感してくれる人が少ないです。
なので著者は、同じように大変な思いをしている管理職同士の繋がりを
意図的に作っていくことが重要だと述べています。
他にも、部下と腹を割ってコミュニケーションを取ることも
孤独感を減らすために大事なことになります。
とにかく管理職になれば、問題を1人で抱え込むのではなく
人とつながっておくことが大事になります。
管理職だけが知っている情報を部下にも共有する
負荷を減らすための3つ目の方法は、
管理職が受けている研修や訓練を部下にも受けてもらうことです。
管理職になると、部下との接し方やマネジメントに関する研修や
会社としての戦略、目標などの情報が共有されることが多くなります。
ですが、ほとんどの会社はそのような情報は
管理職だけが知っていればいいと考えているので
8割以上の部下には伝えられないことが多いです。
この状態ですと、管理職は目標や前提などを理解して動いていますが
部下は何が大事か、なぜ大事にするかを理解していないので
現場で噛み合わないことが多くなります。
このようなコミュニケーションのズレをできるだけ無くすためにも
著者は管理職の研修を部下にも受けさせて
「対話の仕方」「前提」「会社の方針」「目標や評価の仕方」などの情報を
部下に共有した方がいいと述べています。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
管理職の過酷さがデータを基に多く解説されている本書は
現在管理職の人やこれから管理職を目指す人への参考書だと思いました!
本書が気になる方は
是非本書を手に取ってみてください!
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