こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、オリバー・バークマンさんの
『不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法』について紹介をしていきます!
『不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法』について
本書の概要
本書はひとことで言うと
完全さを武器に人生の充実を図るための指南書となる1冊です。
本書をオススメしたい人
- 完璧主義の傾向が強く、何事にも「完璧でなければ」と自分を追い込んで疲れている人
- 終わらないTo-Doリストに追われ、何も成し遂げられていないと感じている人
- 失敗を恐れるあまり考えすぎてしまい、なかなか行動を起こせない人
本書は、人生の有限性(約4000週間)を踏まえ、
完璧主義を手放して今この瞬間を充実させるための実践的ガイドです。
常に「すべてのタスクを片付けてから幸せになろう」と
未来に幸せを先送りしがちな私たちに対し、「そんな日は永遠に来ない」と本書は断言します。
つまり、人生を先延ばしにする完璧主義の幻想を捨て、
「不完全でも今やる」生き方へとシフトすることを提唱しているのです。
哲学的な洞察と心理学的な知見を織り交ぜつつ、
例えば「デイリー・イッシュ」や「やらないことリスト」といったユニークな習慣術を通じて、
有限な時間を本当に大切なことに使う方法を具体的に示しています。
完璧を諦めることでかえって自由と充実を得られる
そんな逆説的な人生哲学が平易な語り口で綴られ、
読後には肩の力が抜け前向きな気持ちになれる1冊です。
『不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法』のまとめ
終わらない「やることリスト」に追われる日々
現実には、タスクを片付けても片付けても新しい用事が次々と湧いてきて、
結局To-Doリストの「まだ終わっていないこと」ばかりが増えていくものです。
本書の冒頭で著者は、その「やれば終わるはず」という前提自体にメスを入れます。
多くの人が心のどこかで夢見る「すべてが完了し、何の不安もない完璧な状態」は幻想であり、
「そんな日は、永遠に来ない」のだと断言するのです。
一見厳しい指摘ですが、裏を返せば
「そこを目指して苦しむ必要はない」という解放でもあります。
実際、現代人の多くが抱える「いつも時間が足りない」
「やることが終わらない」という悩みは、個人の怠慢ではなく
人間である以上避けられない現実だと本書は説きます。
どんなに効率化を図っても、
限りある人間に人生の全タスクをやり遂げることは不可能なのだとも指摘します。
まずはその事実を受け入れること
これが本書の提案する「不完全主義」への第一歩となります。
「不完全主義」が人生を動かす
では、本書のタイトルにもなっている「不完全主義」とは何でしょうか。
一言で言えば、「自分には限界がある」という事実を深く受け入れることであり、
決して諦めや怠惰を推奨するものではありません。
それどころか、その受容によって初めて人生が動き出すのだと著者は説きます。
完璧主義者が「100点を目指すあまり準備不足を理由に行動しない人」だとすれば、
不完全主義者は「0点でもいいから今の自分で舞台に立つ人」です。
そして多くの人が行動を先延ばしにしてしまう本当の理由は、
「まだ準備ができていない」からでも「失敗が怖い」からでもなく、
その背後にある「自分の有限性に直面したくない」という恐れだと本書は指摘します。
何かに着手するということは、
頭の中の無限の可能性を断ち切って現実の一つにコミットすることを意味します。
例えば「最高の小説を書く」という夢も、思い描いている間は無限の傑作になり得ます。
しかし実際に書き始めた瞬間、それは理想との差が目につく不完全な現実となり、
私たちはそのギャップに耐えきれなくなるのです。
その結果、いつまでも情報収集や準備(という名の先延ばし)に逃げてしまうわけです。
そこで著者は、イギリスの作家G・K・チェスタトンの言葉を引用しながらこう諭します。
「やる価値のあることは、不十分にやる価値がある」
つまり、完璧にできないなら何もしないのではなく、
たとえ下手でも価値あることならやってみるべきだということです。
本書の核心にあるのはこの発想の転換です。
頭の中の完璧なプランにしがみつくのをやめ、不格好でも一歩踏み出す勇気を持つこと。
自分の限界を認めて小さく始めることで、
停滞していた人生が少しずつ動き出すのだと著者は強調します。
人生は計画通りにいかないカヤック
本書にはハッとさせられるメタファーがいくつも登場しますが、
中でも象徴的なのが「人生はカヤックであってスーパーヨットではない」という比喩です。
私たちはつい人生を「スーパーヨット(豪華ヨット)」のように運航しようと考えがちです。
最新の機器を揃え、天候を完璧に予測し、エンジン全開で計画した目的地へ一直線に進もうとする
つまり予想外のトラブルは排除すべき誤算であり、
計画通りに進まないのは失敗だとみなすような発想です。
しかし現実の人生は、大自然の川を下る一艘のカヤックに近いのだと本書は説きます。
川の流れ(時代の変化、他人の都合、健康状態など)は自分ではコントロールできません。
突然の荒天もあれば、予期せぬ岩に進路を阻まれることもあります。
もちろんカヤックに乗っているときに
「川の流れが計画通りじゃない!」と怒ってみても意味がありません。
私たちにできるのは、目の前の急流に合わせて懸命にパドルを漕ぎ、
バランスを取り続けることだけです。
不完全主義者は、まさにこの「自分ではどうにもならない流れ」に文句を言うのをやめ、
「今この瞬間、目の前の波にどう対処するか」だけに集中します。
これは現代の一般的な「タイムマネジメント(時間管理術)」に対する
痛烈なアンチテーゼともいえるでしょう。
従来の時間管理術が「いかに未来を計画通りにコントロールするか」を教えるのに対し、
不完全主義は「計画通りにいかない現実といかにうまく付き合うか」を教えてくれるのです。
人生という予測不能な冒険を、大海原を行く巨大なヨットではなく
小回りの利くカヤックになぞらえることで、
著者は「不確実性そのものを受け入れる勇気」の大切さを浮き彫りにしています。
今すぐ試せる3つの「不完全」の技術
では、私たちは具体的にどうすれば不完全主義を実践できるのでしょうか。
本書の中盤では、明日からでも試せる数々のユニークな方法論が紹介されています。
「デイリー・イッシュ(Daily-ish)」の習慣
新しい習慣を始める際、「毎日欠かさず続ける」ことを自分に課してしまう人は多いでしょう。
バークマンはむしろ「毎日じゃなくても毎日っぽくできれば十分」だと提案します。
一度でも「毎日」を途切れさせてしまうと挫折しがちなところを、
最初から「毎日できなくてもOK」くらいの緩さで取り組むことで、
途中で途絶えても何食わぬ顔で再開できます。
完璧な連続記録にこだわるより、途切れてもまた始められる柔軟さこそが
習慣化の鍵だという指摘は、思わずハッとさせられます。
「みすぼらしいおもてなし(Scruffy Hospitality)」
人づき合いにおける不完全主義の極意です。
友人を家に招くとき、多くの人は完璧なホストを務めようと張り切ってしまいます。
家中を隅々まで掃除し、凝った手料理を用意しようとする結果、
「準備が大変だから」とつい招待自体を先延ばしにしがちです。
バークマンが紹介する「みすぼらしいおもてなし」とは、
散らかった部屋に出前のピザでも構わないから友人を呼ぶという発想です。
大切なのは完璧なおもてなしではなく、友人と楽しい時間を共有すること。
見栄のために準備に時間をかけるより、
ハードルを下げて実際に会うことを優先しようというわけです。
この考え方は仕事や創作の場面にも応用できます。
完璧な資料を作り込むよりも、多少荒削りでも早めに叩き台を示して議論した方が
プロジェクト全体が前に進むことが多いものです。
「完了」させずに「手放す」
私たちは何事も最後までやり遂げることに強い責任感を抱きがちですが、
著者は逆に「すべてを終わらせることなどできないと知り、
どのボールをあえて落とすか選べ」と説きます。
重要なのは全タスクを完了させることではなく、
「何をやらないか」を意識的に決めることです。
言い換えれば、不完全主義とは「何をやらないか」を決める勇気でもあります。
たとえば「メールの返信が遅い人」と思われても家族との夕食の時間を守る、
「付き合いが悪い人」と言われても自分の創作時間を優先するといったように、
あえて何かを犠牲にすることでしか守れない大切なものが確かに存在します。
すべてに100%応えようとせず、取るに足らないことは思い切って切り捨ててしまう。
そのように有限なリソースを本当に価値あるものに集中するための「諦め」を肯定し、
本書は具体的な戦略を豊富に提示しています。
「いつか」ではなく今この瞬間が本番
終盤で語られるメッセージは、
「人生をリハーサル(予行演習)のように生きてはいけない」という
シンプルで深遠な問いかけでした。
私たちは無意識のうちに「今はまだ本番じゃない」
「いつか条件が整ったら本当の人生が始まるはずだ」と考えてしまいがちです。
「もっとお金に余裕ができたら…」
「もっとスキルが身についたら…」「子育てが一段落したら…」
そうやって現状に条件をつけ、
「本当の人生」はまだ先にあると感じている人は少なくないでしょう。
しかしバークマンは哲学者ハイデガーの言葉を引き合いに、静かに諭します。
「私たちは『時間』そのものだ」と。
時間は私たちが将来好きなように使うため貯めておくものではなく、
今この瞬間に流れている時間こそが人生そのものなのです。
散らかった部屋も、終わらない仕事も、思い通りにならない人間関係も、
それらを含めた「いま、ここ」こそが紛れもない人生の本番と言えます。
もし「いつか何もかも完璧になったら人生を楽しもう」と考えているとしたら、
死の間際まで人生を保留し続けることになりかねません。
だからこそ、不完全なまま問題だらけの現在に飛び込んでしまうことが大切なのです。
限りある人生を上手に過ごす唯一の方法は、
まさにその本番である「今この瞬間」を味わい尽くすことなのだと、
本書は静かに背中を押してくれます。
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
本書は、時間管理術の本でありながら同時に人生観を揺さぶる1冊です。
有限な人生を本当に充実させるカギは、
決してすべてを思い通りにコントロールすることではなく、
不完全なままでも前に進む勇気にあります。
このメッセージは、終わりの見えないタスクに追われている人や、
自分の人生をまだ「本番」ではないと感じている人に大きな気づきを与えてくれるでしょう。
本書が気になる方は、是非手に取ってみてください!

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