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『これはただの夏』のあらすじと感想 | 燃え殻さん著書

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、燃え殻さんの

『これはただの夏』を紹介していきます!

 

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『これはただの夏』について 

本書の概要

本書はデビュー作

『ボクたちはみんな大人になれなかった』が

大ベストセラーとなり

2021年秋にNetflixで映画化、全世界に配信された

著者による待望の2作目の小説になります。

 

※『ボクたちはみんな大人になれなかった』の書評はこちら

 

本書をオススメしたい人

・『ボクたちはみんな大人になれなかった』が好きな人

・切ない話が好きな人

・何気ない日常が好きな人

 

本書は「夏」と「別れ」がテーマになっています。

 

幸せな何気ない日常が続くことを

願うほど終わりは突然やってきます。

 

そして、本書を読み終えた後

「これはただの夏」だったんだなと

感じてしまいます。

 

燃え殻さんによる

センチメンタルな作品であり

読者を切なさで覆い尽くす作品です。

 

『これはただの夏』のあらすじ

あらすじの概要

その瞬間、手にしたかったものが、
目の前を駆け抜けていったような気がした。

「普通がいちばん」「普通の大人になりなさい」と親に言われながら、

周囲にあわせることや子どもが苦手で、なんとなく独身のまま、

テレビ制作会社の仕事に忙殺されながら生きてきてしまった「ボク」。

取引先の披露宴で知り合った女性と語り合い、唯一、まともにつきあえる

テレビ局のディレクターにステージ4の末期癌が見つかる。

そして、マンションのエントランスで別冊マーガレットを独り読んでいた小学生の明菜と

会話を交わすうち、ひょんなことから面倒をみることに。

ボクだけでなく、ボクのまわりの人たちもまた何者かになれず、

何者かになることを強要されていたのかもしれない……。

引用元:『これはただの夏』

 

ネタバレを含んだあらすじ

以下より、ネタバレを含んだ

あらすじになります。

 

結婚式の二次会で出会った優香

主人公の「ボク」は、TV制作会社に勤めています。

 

そんな「ボク」はディレクターの大関と

出席した披露宴に、キラキラの黒いワンピースを着ていた

顔もスタイルも抜群な優香がいました。

 

「反則だろ」と優香を見た大関は

持ち前のが押しの強さで

彼女と知り合った新婦の友人を二次会に誘います。

 

気がつくと翌朝

優香と2人でファミレスにいました。

 

どうやらめちゃくちゃ飲んだらしく

彼女を連れ出して

ずっと歩きながら話してたのです。

 

「優香」と名乗った彼女と話した内容は

ほとんど覚えていませんが

どこか寂しげな表情だけは頭に残っていました。

 

隣の部屋に住む明菜

主人公が、自宅のマンションに帰ると

エントランスで別冊マーガレットを

独りで読んでいた小学生の明菜と

会話を交わします。

 

どうやら隣の部屋の住人で

母と2人暮らしをしていました。

 

その後ひょんなことから

数日間、明菜の面倒をみることになりました。

 

2人で入ったモスバーガーで偶然

優香に会い同席することになりました。

 

明菜が優香に仕事を尋ねると

「老舗ではないけど、その界隈では、そこそこ古い店。古いだけの店」と

他人事のように答えました。

 

優香の職業

後日、大関から電話があり

ステージ4の末期がんであることを告げられます。

 

同時に、週刊誌の風俗記事に

彼女が出ていることを教えられます。

 

送られたメールの写真を見ると

優香だったのです。

 

優香は五反田の風俗店で働いており

すぐに店に予約して

船底みたいな部屋で優香と再会します。

 

「ああ、マジで消えたい」と優香は言います。

気まずくなった後、優香は

「予約、また入れてよ。

 ここでごはんを一緒に食べようよ」と言い

弁当を作ってきてくれるということになりました。

 

奇妙な関係が始まる

「ボク」の部屋で

明菜と優香と三人で食事をして

二人は泊まっていく という

不思議な関係が始まります。

 

また、明菜と一緒に大関を見舞いに行ったり

3人でプールに遊びに行ったりなど

血縁関係のない3人が

家族のような姿になっていきます。

 

どれもあり得ない展開ですが

しっくり来る奇妙な関係は

ずっと続くように思われたましたが

終わりは突然やってきます。

 

『これはただの夏』の感想

普通に憧れる3人

「普通の大人になりなさい」と親に言われるも

周囲にあわせることや子どもが苦手で

独身のまま仕事に忙殺された「ボク」でしたが

奇妙な3人の関係に

普通の家庭の良さを少しずつ感じていきます。

 

たった数日間の関係でしたが

年齢も40代ということもあり

同世代の40代の普通の家庭も

案外いいんだなと感じるようになります。

 

また、優香も

「ボク」と明菜との会話や

3人でいる時の心地よさから

風俗で働いている現状に

区切りをつけないといけないと感じるようになります。

 

明菜も大人びているな性格で

同級生とは馴染めない状況でした。

 

母親も仕事中心で

1人で過ごすことが多かったのですが

お父さんとお母さんと

仲のいい家庭の姿に

憧れを持つように感じます。

 

普通に馴染めない3人が

数日間の奇妙な関係で

各々の心境が変わっていく様子は

読んでいて微笑ましくなります。

 

夏の短さとあっけなさ

物語全体を通じて

とても濃密な時間でありながら

実質は数週間程度の物語です。

 

夏の短さと時間軸の短さが相まって

よりいっそう物語の切なさを感じます。

 

著者の燃え殻さんも

夏は短くて人生っぽいと仰っています。

 

夏って短いし、なんか寂しくないですか。いつから始まるのか分からないのに、

終わる気配だけはすごくはっきりしている。気づいたら、

夏じゃない風が吹いたという経験ってありますよね。

「あれ?もう涼しくない?」みたいな。でもまだ鳴いてる蝉もいて。

夏の終わりって完全に分かるのに、夏の始まりはヌルっとしている。

あっという間に終わって短い。それって人生っぽいなと。

始まり方はよく分からないのに、終わる気配はビンビンする。

だから作品で夏を出しがちなのかもしれないですね、

太陽がギラギラしていても切ない感じがして、異様に寂しいんですよ。

引用元:インタビュー記事

 

本書の切なさが

読者それぞれの一夏の出来事を

しんみりと思い出させてくれます。

 

あくまでも「これはただの夏」である

奇妙な関係も突然終わりを告げ

何事もなかったようになります。

 

それでも「これはただの夏」であり

この話は数多の出会いや別れの一部で

人生で何度でも来るかもしれません。

 

それでも「ボク」は

チャーハンやおにぎり

モスバーガー・プールを見て

優香・明菜・大関との夏の記憶を

「ただの夏」ではなかったこととして

思い出してしまうんだなと感じました。

 

誰かにとっては「ただの夏」であって

自分自身にとっても「結局ただの夏」だったのに

色鮮やかな記憶として残り続けることに

切なさを感じてしまいます。

 

本当に切なくなってしまう作品に

思わず涙が出てしまいました。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

切ないのですが

自分の中に残り続ける記憶は

誰しもが心のどこかに持っていると思います。

 

本書は、そんな読者各々の記憶を

思い出させてくれる一方で

切なさに共感してしまう1冊です。

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

 

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