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『ボクたちはみんな大人になれなかった』のあらすじと感想

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、燃え殻さんの

『ボクたちはみんな大人になれなかった』を

紹介していきます!

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『ボクたちはみんな大人になれなかった』について 

本書の概要

本書は、著者の燃え殻さんによる

デビュー作になります。

 

普段は都内のテレビ美術制作会社で

勤務されている著者は

休み時間にはじめたTwitterで

ありふれた風景の中の

つぶやきが人気となります。

 

そこから多くのフォロワー数を獲得し

「140文字の文学者」とも呼ばれています。

 

そんな著者によるデビュー作品は

2017年6月に発売され

現在は累計発行部数8万部を超える

人気作になります。

 

さらに2021年に

森山未來さんと伊藤沙莉さんをはじめとする

豪華キャスト陣によって、映画化にもされた1冊です。

 

本書をオススメしたい人

・切ない話が好きな人

・エモい話が好きな人

・過去の恋愛を思い出したい人

 

著者自身が90年代に出会った

強烈な彼女との恋愛を描いた物語です。

 

今になって、過去の恋愛が輝いて見えてしまう

物語には共感者が続出しております。

 

以下コメントになります。

◆ リズム&ブルースのとても長い曲を聴いているみたいだ。 糸井重里(コピーライター)

◆ 事件も犯罪も起きなければ、アウトローも拳銃も登場しない。だがこれは確実に新時代のハードボイルド小説だ! ! 大根仁 (映像ディレクター)

◆「なんだこの統一した叙情の持続は! 」と、ネットの連載を驚愕しつつ読んでました。

いわゆる「青春の墓碑銘」の最新版でしょう。 会田誠 (美術家)

◆ 謝りたい人と会いたい人の顔が浮かんだ。堀江貴文(実業家)

◆ 射精くらいキモチよかった。記憶がシゴかれ、かきむしられて涙が出ていた。

こういう仕事や恋愛を、僕もしていた記憶があるから。 二村ヒトシ (アダルトビデオ監督)

◆「さよなら小沢健二」と言えないまま大人になった僕たちは、あの頃のことを「何もなかった」と思いたくなくて今日も生きている。 樋口毅宏(作家)

◆泣いちゃった。 小沢一敬(スピードワゴン)

引用元:ボクたちはみんな大人になれなかった

 

読んでいて、懐かしい青春時代の恋愛が

頭の中で自然と思い浮かべてしまいます。

 

『ボクたちはみんな大人になれなかった』のあらすじ

あらすじの概要

17年前、渋谷。大好きだった彼女は別れ際、「今度、CD持ってくるね」と言った。

それがボクたちの最終回になった。

17年後、満員電車。43歳になったボクは、人波に飲まれて、

知らないうちにフェイスブックの「友達申請」を送信してしまっていた。

あの最愛の彼女に。

とっくに大人になった今になって、夢もない、金もない、手に職もない、

二度と戻りたくなかったはずの《あの頃》が、なぜか最強に輝いて見える。

ただ、「自分よりも好きになってしまった人」がいただけなのに……。

各界でオトナ泣き続出、web連載中からアクセスが殺到した異色のラブストーリー、

ついに書籍化。

引用元:書籍のあらすじより

 

ネタバレを含んだあらすじ

以下より、ネタバレを含んだあらすじになります。

 

仕事に向かう電車の中で

スマホを開いてfacebookを見ていると、

「知り合いかも?」の中に彼女の名前がありました。

 

彼女はかつてボクが初めて

「自分よりも好きになってしまった」人でした。

 

人ごみに巻き込まれても

彼女のfacebookから目が離せず

気が付くと画面には

「友達リクエストが送信されました」と

メッセージが出てきました。

 

どうやら、誤って押してしまったようです。

 

彼女、加藤かおりと出会ったのは

1995年で、22歳の夏のことでした。

 

当時、エクレア工場で

ひたすらエクレアを箱に詰めていくという

単純なバイトをしており

日本人の同僚は、12歳年上の七瀬だけでした。

 

休憩室にあったアルバイト雑誌の

文通コーナーを七瀬が声に出して読み上げます。

 

「この文通コーナーから最初に読む方、

 ご連絡ください。20歳女、犬キャラ」という

 

メッセージに惹かれたボクは

そのページをちぎってポケットに入れました。

 

「犬キャラ」とは

「犬は吠えるがキャラバンは進む」という

小沢健二のファーストアルバムのことです。

 

小沢健二が大好きだったボクは

「小沢健二、好きなんですか?」と

1行だけ書いて手紙を送りました。

 

すると、かおりからすぐに返事がきて

手紙のやり取りをするようになりました。

 

そして思い切って

「もしよかったら会いませんか?」と

提案すると「私、ブスなんです」と返事が来ました。

 

それでもかおりに会いたかったボクは

かおりの率直さの前に

純粋になれた自分に嬉しく感じます。

 

ボクはかおりに恋をしてしまいます。

 

生まれて初めて頑張りたくなったボクは

エクレア工場の休憩室にあった

アルバイト雑誌に書かれていた

「テレビ番組の美術制作アシスタント募集」という

仕事に飛びつきました。

 

面接に行くとボク以外にいたのは

関口という金髪坊主だけで

2人とも、すぐに採用が決まりました。

 

ボクは七瀬とルームシェアして生活することになり

かおりは妹と一緒にアパートを借りて住んでいました。

 

そのため、かおりとは

2人きりでラブホテルで過ごす週末が

ボクの生きがいとなりました。

 

1999年7月、世間では

「ノストラダムスの大予言」が

まことしやかに議論されていました。

 

地球最後となるはずの日もボクは

いつものラブホテルで

かおりと抱き合って過ごしました。

 

新しい仕事は今日のメシも

ギリギリというジリ貧で

翌年、社長が業界からの大幅値引きを飲んだために

薄利な仕事で日々は埋め尽くされました。

 

ほとんど寝ていない状態で

会社で朝を迎えることも度々あり

かおりから「今日一日いっしょにさぼろう」と

電話があると、関口が気を利かせて

ボクを追い出してくれました。

 

目的地を決めず

ホームの新幹線にあてずっぽうに飛び乗って

その日の気分で降りる駅を決めるという

思いつき旅行を季節の変わり目ごとに出かけました。

 

1996年の秋

かおりとデートをしていると

明らかに女装とわかる男が話しかけてきました。

七瀬だったのです。

 

七瀬は和風居酒屋「BARレイニー」を

やってると言い、ボクとかおりは

七瀬の店で食事をしました。

 

キャバクラの名刺や

パンフレットがきっかけで

業界の目に留まり、このころには

会社の業績は飛躍的に伸びていました。

 

バブル崩壊なんて

嘘なんじゃないかと思うくらい

人生で最も羽振りのいい時代でした。

 

スーという美女に

出会ったのもこの頃でした。

 

スーは六本木のクラブのバーテンダーで

介護王と呼ばれていた佐内慶一郎の女でした。

 

スーはボクのことを

「自分と同じ目をしてる人」と言いました。

 

かおりが仕事でインドに

買い付けに出かけることになりました。

 

かおりは嬉しさいっぱいで

全然寂しそうではなかったことが

ボクをいじけさせます。

 

スーから連絡があり、ボクたちは

仕事が終わった午前0時過ぎに

会うことが多くなりました。

 

スーは佐内に紹介されて

風俗嬢をやっていると言いました。

 

佐内の自宅と所有物件に国税局査察部の

家宅捜索が入ったニュースが流れると

スーとは連絡が取れなくなってしまいました。

 

かおりがインドから帰ってきました。

 

嬉しかったはずなのに

何故か会話は歯切れが悪くて

会話がかみ合いませんでした。

 

それからしばらくして

ボクとかおりは会わなくなってしまいます。

 

別れは突然で

「さようなら」もありませんでした。

 

最後に会ったのは渋谷のロフトで

最後の言葉は「今度CDもってくるね」でした。

 

Facebookには

この頃に旦那と知り合ったことが書いていました。

 

しばらくして「小沢かおり”」から

友達リクエストが承認されたと通知がきました。

 

そして、ものすごい勢いで

「ひどいね」が

ボクの投稿に押されていきました。

 

ボクは今でもかおりに

「今度CDもってくるね」が

最後になった訳を聞きたいと思っています。

 

「キミは大丈夫だよ、おもしろいもん」

どんな話でも最後にかおりは

そう言ってくれました。

 

かおりに承認されることで

初めて生きがいを感じることができ

その生きがいのおかげで

今日まで踏ん張ってこれたのです。

 

『ボクたちはみんな大人になれなかった』の感想

懐かしさの感じる青春ストーリー

率直に言えば

この物語で劇的なことは、何一つ起こりません。

 

東京で生きがいのなかった若者が恋をして

がむしゃらに仕事をして

いろんな人と出会い、別れていく話です。

 

ありふれた1990年代を東京で過ごした

ひとりの若者の自分語りです。

 

彼女と出会ったきっかけは

雑誌の文通コーナーで、別れ話はなく

「今度、CD持ってくるね」と

言ったきりの自然消滅です。

 

どこにでもありような

甘酸っぱくて、ほろ苦い物語です。

 

そして43歳になった主人公のボクは

そんな彼女にうっかり

Facebookの友達申請を送ってしまいますが

特段何が起こるという話でもありません。

 

友達申請は承認されますが

ボクは彼女になにひとつ

メッセージを送らず、そのまま物語は幕を閉じます。

 

思わず誰かを想像してしまう物語

何も起きない物語ですが

小説全体を通して

各々の「誰か」を思い出してしまいます。

 

燃え殻さんの文章は

ありふれた青春のありふれた気持ちを

情緒的に書き表しています。

 

要は「エモい」ということです。

 

言葉の選び方やタイトルの付け方が

今時なのに普遍的で

読み心地が本当によかったです。

 

本作は、青春を経験した読者が

過去に浸るための作品だと感じました。

 

エモい文体に引っぱられるように

自らの20代を思わず振り返ってしまい

各々の誰かを想像してしまいます。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

切なくて、思わず

過去を思い出してしまう作品で

読了後は思い更けてしまう1冊です。

 

そして、あの時

『ボクたちはみんな大人になれなかった』んだなと

読者に感じさせる作品でした。

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

 

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