こんにちは!しょーてぃーです!
今回は、山口未桜さんの
『禁忌の子』について紹介をしていきます!
『禁忌の子』について
本書の概要
本書はひとことで言うと
遺伝子に秘められた禁断の真実を描いた物語です。
本書をオススメしたい人
・医療ミステリーや本格ミステリーが好きな人
・倫理や生命の境界について考えるのが好きな人
・衝撃的な展開がある作品を求める人
本作は、現役医師が描く本格医療ミステリーです。
物語は、救急医・武田航が勤務する病院に、
自分と瓜二つの身元不明の溺死体が運ばれる場面から始まります。
その遺体を調査するうちに、遺伝子操作やクローン技術、
生命倫理に関わる驚くべき事実が浮かび上がっていきます。
医療技術の発展がもたらす「生命の選択」と
「人間の境界線」について深く問いかける本作は、
ミステリー要素だけでなく、倫理的なテーマを含んだ社会派小説でもあります。
終盤には、衝撃的な展開が待ち受けており、読後の余韻が長く残る作品です。
『禁忌の子』のあらすじ
あらすじの概要
救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ!
禁忌の子 より
双生の影 鏡に映る禁忌の子
物語は、救急医 武田航 が勤務する病院に
身元不明の溺死体 が搬送される場面から始まります。
医師として日々の診療に追われる彼でしたが、その遺体を見た瞬間、思わず息をのみます。
それは、自分とまったく同じ顔、同じ体格をした男性の遺体 でした。
遺体は病院内で「キュウキュウ十二」と呼ばれ、身元不明のまま処理される予定でした。
しかし遺体をよく調べると、
武田とDNAレベルで完全に一致する可能性があることが分かりました。
これは単なる偶然として処理できるレベルではないことから
武田は混乱しつつも、長年の友人であり、
冷静な論理思考を持つ内科医・城崎に相談し、調査を始めます。
調査を進めるうちに、遺体は生前に ある産婦人科を訪れていた ことが判明します。
その病院は、過去に遺伝子研究に関わる
特殊なプロジェクトを行っていたという情報も浮上しました。
そこで、武田と城崎は産婦人科の理事長に直接会って話を聞こうとします。
しかし、約束の日時にその理事長が 密室で死亡している のが発見されます。
自殺なのか、それとも他殺なのか。
事件の裏には何があるのか。城崎の論理的な推理が動き出します。
やがて、遺体の男性が「中川信也」という偽名を使っていたことが判明し、
彼の過去を調べるうちに、武田と同じ遺伝子を持つクローン ではないかという可能性が浮上します。
武田は中川の実家を訪ね、彼が 体外受精によって誕生した子供であり、
ある「実験」によって生み出された存在 であることを知ります。
さらに、中川は幼少期に養父母からの虐待を受け、壮絶な人生を歩んでいたことが明らかになります。
そんな中、武田の妻 夏美 が 駅のホームから転落する事故 に遭います。
幸いにも一命を取り留めますが、城崎はこの事故にも違和感を覚え
調査を進めるにつれ、武田の家系に隠された 驚愕の事実 が明るみに出ます。
それは、武田の家族構成に関する重大な秘密 でした。
『禁忌の子』の感想
遺伝子が語る禁忌の真実 生命の境界線を問う物語
本作は、医療の専門知識を駆使した本格ミステリーであり、
倫理的な問いを読者に投げかける作品 です。
医師である著者ならではのリアルな医療現場の描写が
物語に説得力を持たせ、登場人物の葛藤が深く描かれています。
物語の軸となるのは、遺伝子操作やクローン技術といった
医療の最先端技術がもたらす倫理的な問題 です。
主人公・武田が遭遇する「自分と瓜二つの遺体」という異常な事態は、
読者を一気に引き込む衝撃的な導入となっています。
そして彼が調査を進めるにつれて、「クローン技術を利用した人体実験」が物語の中心に浮上し、
その結果として生まれた「禁忌の子供たち」の悲劇が明らかになります。
単なるミステリーではなく、生命倫理や家族のあり方について
深く考えさせる要素 を多く含んでいます。
特に、武田の家族構成に関する重大な真実が明かされるシーンは衝撃的であり、
倫理的なタブーに踏み込んだ展開はには思わず感情が大きく動かされます。
しかし、ただ単にセンセーショナルな話ではなく、
「科学がどこまで人間の領域に踏み込むべきなのか」という問いが根底にあるので、
作品全体として、読者に人間の存在の意味 を投げかけているように感じました。
また、本作のもう一つの魅力は、ミステリーとしての緻密な構成です。
城崎の論理的な推理と、密室殺人事件の謎解きが絡み合い、
読者は飽きることなく先の展開に進むことができます。
事件の背景には、産婦人科の医師の死、養子制度の闇、虐待の問題など、
まざまな社会的テーマも絡んでおり、単なる小説では終わらない深みも感じます。
結末については、読者によって意見が分かれるかもしれませんが、
「科学技術の進歩が人間にとって幸福をもたらすのか、それとも災厄を招くのか」という問いは
読後も考え続ける余韻が残るので、非常に良作だと感じました!
最後に
ここまで本書について紹介してきました。
医学・倫理・ミステリーが融合した衝撃的な物語であり、
遺伝子技術の可能性と危険性、そして人間の存在意義について深く考えさせられる一冊でした!
本書が気になる方は
是非本書を手に取ってみてください!
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