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『会社はあなたを育ててくれない』の要約について

ビジネス

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、古屋星斗さんの

『会社はあなたを育ててくれない』について紹介をしていきます!

 

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『会社はあなたを育ててくれない』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

令和の時代のキャリア形成に新たな視点を与える1冊です。

 

本書をオススメしたい人

・会社任せではなく自分でキャリアを切り拓きたいと考えている人

・今の働き方や成長ペースに漠然と不安や焦りを感じている人

・若手社員の育成に悩む人

 

現代の職場環境では、もはや会社が社員を手厚く育成してくれるとは限りません。

 

長時間労働の是正などにより「ゆるい職場」と呼ばれる働きやすい環境が広がった一方で、

働く個人にとっては「すべてが自分次第」の厳しい時代が訪れています。

 

本書は、手社会人が抱く「成長の機会が足りない」「ロールモデルになる上司がいない」

「このまま我慢していても報われないのでは」といった漠然とした不安の背景に、

この時代特有の構造変化があることをデータをもとに解き明かします。

 

そして、そんな環境の中で私たちがどのようにキャリアをデザインし、

自分で「成長の機会」と「学ぶ時間」を生み出していけるか、

その考え方と具体的なアクションプランを提示してくれます。

 

20代社会人2000人超の調査結果や最新のキャリア理論を踏まえつつ、

章ごとに理論と実践の両面から解説が展開され、

働き方改革時代における新しい「安定」の築き方を示す一冊となっています。

 

『会社はあなたを育ててくれない』のまとめ

第1章 会社はあなたを育ててくれない

第1章では、現代に「会社はあなたを育ててくれない」という

厳しい事実が生まれた背景を探ります。

 

もともと日本企業が新人をイチから育成する仕組み自体が、

高度成長期に生まれたイノベーションでした。

 

しかし時代の変化でそのモデルは限界に直面します。

 

転機となったのは就職氷河期(採用抑制で企業の育成力が低下)と、

「ブラック企業」問題を経た働き方改革です。

 

長時間労働の是正で定時退社が当たり前になり、

「働きやすさ」が追求された結果、職場の負荷が軽くなった一方で

成長は個人任せになりがちな「ゆるい職場」が登場しました。

 

これは決して若者が怠けているのではなく、

仕事観の多様化など環境変化によるもので、

労働時間に余裕が生まれても「このままでいいのか」と不安を抱く若手も少なくありません。

 

では誰が人材を育てるのか?

もはや答えは「自分自身」であり、本書はその具体策を紐解いていきます。

 

第2章 「選択できる」ことは幸か不幸か

第2章では、仕事の選択肢が増えた現代において、

それが幸せか不幸かを考察します。

 

終身雇用神話が崩壊し企業が若手育成に消極的になる中、

転職など職業選択の機会が飛躍的に増大しました。

 

一人が何度もキャリアを選び直す時代が到来し、

選択の一回ごとの重みは小さくなり、それに伴い運に左右される要素も減っています。

 

一方で転職が当たり前になったことで、

個人の判断力がより問われる厳しい側面もあります。

 

次々と選択肢が現れるのは一見幸運な状況ですが、

同時に「知人に遅れを取っているのでは」という焦りや不安を生み出す一面もあります。

 

こうした環境下で、一部の若者には新たな安定志向も芽生えており、

変化の多い時代に自分なりの「安定」を模索する姿も描かれています。

 

第3章 自分らしさと成長を両立するために

第3章では、「ありのままの自分でいたい」という気持ちと

「早く何者かになりたい」という成長欲求、

この2つの矛盾した思いをどう両立させるかがテーマです。

 

選択肢が増えたことで若手はこのジレンマを抱えやすくなっており、

キャリア選択が感情面でも難しくなっています。

 

著者は両者を共存させる条件として、

まず「なにものか」になるために必要な3要素を挙げます。

 

(1)職場の心理的安全性(失敗や挑戦が許容される安心感)、

(2)職場のキャリア安全性(キャリア上の挑戦が妨げられない環境)、

(3)仕事における質的な負荷(成長につながる適度な難易度)です。

 

一方、「ありのまま」でいるために必要な要素としては、

(1)自分にフィットする労働環境(働き方や価値観が合う職場)、

(2)ライフキャリアへの支援(仕事以外の人生面も尊重・支援されること)、

(3)相互理解(上司や周囲の理解と受容)が挙げられます。

 

これらの条件が整うことで、

自分らしさを保ちながら成長することが可能になると説かれています。

 

第4章 三年いても温まらない

第4章では、「石の上にも三年」という旧来の経験則が通用しなくなった現実を扱います。

 

かつては「1万時間の法則」に象徴されるように、

長時間仕事に打ち込めば数年で一人前になれると考えられてきました。

 

しかし働き方改革後の現在では、月の労働時間は昔より大幅に減り、

3年勤めても累計1万時間には届きません。

 

そのため従来型のOJT任せでは十分にスキルが身につからず、

「とりあえず3年続ければ…」という前提は崩壊しました。

 

もちろん闇雲に時間を費やせばいいわけではなく、練習の質が重要ですが、

いずれにせよ受け身でいるだけではプロにはなれない時代なのです。

 

第5章 巨人の肩の上に乗る

第5章では、歴代のさまざまなキャリア理論を概観し、

自身のキャリアを考える手がかりとしています。

 

まず、パーソナリティと職業適性のマッチングを図る「特性因子理論」や、

人生を複数の役割で捉える「ライフキャリア・レインボー」、

自分の中核的価値観(例:安定、独立など)がキャリアの錨となる「キャリア・アンカー」、

転機への対処法を示す「4Sモデル」といった古典的理論が紹介されます。

 

続いて近年の理論として、自ら変化していく力を重視する「プロテアン・キャリア」、

周囲の流れに身を任せることの意味を説く「キャリア・ドリフト」、

偶然の出来事をチャンスに変える「計画的偶発性理論」、

未来のために過去を再解釈する「サステナブル・キャリア」、

社内外で学び続ける「越境学習論」などが次々と登場します。

 

それぞれの理論は生まれた背景となる時代の文脈がありますが、

本章を通じてキャリア形成に関する多角的な知見を得ることで、

自分の置かれた環境に合ったキャリアデザインを考えるヒントが得られます。

 

第6章 スモールステップを刻む

第6章では、キャリア形成において

「情報収集より行動が大切」であることがデータを使って示されます。

 

著者の調査によれば、SNSで発信したり闇雲に情報収集するだけでは

若手のキャリア展望は高まらない一方で、

「小さな行動(スモールステップ)」を積み重ねてきた人ほど

将来に対する肯定感が高いことがわかりました。

 

学歴や勤め先に関係なく、過去のスモールステップこそが

現在の成長実感を左右しているというのです。

 

本章では誰もが今日から始められる5つのスモールステップが紹介されています。

 

  • 自分のやりたいことをアウトプットしてみる: やりたいことや関心を言語化し、SNSや友人に発信してみます。公言することで周囲を巻き込み、チャンスを引き寄せます。
  • 背中を押してもらい、パワーをもらう: 自分をよく知る先輩や同僚に相談し、挑戦への後押しをもらいます。他人からの「きっとできる」という励ましが不安を振り払うエネルギーになります。
  • 目的をもって探ってみる: 漠然と情報収集するのではなく、仮でもよいので目的意識を持って調べます。目的があるだけで情報に意味が生まれ、知識が自分事として身につきやすくなります。
  • 試しにやってみる: いきなり大きな挑戦をするのではなく、短期間・小規模で実際にやってみて手応えを確かめます。そのような小さなトライアルを重ねていきます。
  • 体験を自分のものにする: 行動して得た体験を振り返り、学びを言葉にして次につなげます。うまくいかなかったことも含め経験に意味づけを行い、それを成長につなげます。

 

これらの一見地味なスモールステップですが、

積み重ねることで大きな変化を生み出すと強調されています。

 

派手な成果でなくとも、その過程で得た知見や自信がキャリアの方向性を形作っていくのです。

 

第7章 「キャンペーン」の集合でつくる

第7章では、一人のキャリアを複数の「キャンペーン」(取り組み)から成る

集合体として捉える新しい視点が提示されます。

 

人は仕事だけでなく家庭や趣味、ボランティアなど様々な役割=仮面を持っており、

それらを状況に応じて使い分けることで

人生全体の充実度を高められるという考え方です。

 

著者は、複数の役割を積極的に演じ分けている人ほど、

仕事満足度・生活満足度が高い傾向をデータで示しています。

 

これは「キャリアの仮面スコア」として数値化され、

スコアが高い人ほど各分野の経験が相互に好影響(ポジティブ・スピルオーバー)を及ぼし、

結果的にキャリア全体の幸福度が増すといいます。

 

若年層で労働時間が減ったこともあり、

副業や社外活動など複数のキャンペーンを持つことが容易になった現在、

自分のキャリアを一つの肩書きに縛らず、多面的に設計することが有効だと説かれています。

 

単一の道に行き詰まりを感じたときも、別の仮面が支えになり得るため、

中年期以降のキャリアにもこの発想は希望を与えてくれます。

 

第8章 合理性を超えるために

第8章では、キャリアを自律的に切り開く際に

陥りがちな「合理性一辺倒」の罠について考察します。

 

新自由主義的な自己責任論が浸透する中、

「仕事は楽しもうとしてもムダ」「つらいものと割り切るべきだ」といった

極端な合理主義を信奉する人もいます。

 

しかし著者は、そうした姿勢には弱点があると指摘します。

 

確かに「仕事はつらいもの」と割り切るのは一概に悪いことではなく、

楽しさと成果が必ずしも比例しないケースもあります。

 

ただ、仕事に熱意ややりがいを一切求めない人(楽しめない者たち)は、

結果的に成長機会や創造性まで手放してしまう恐れがあります。

 

本章では、熱意とパフォーマンスの関係にも触れながら、

ただ効率や合理性だけでなく、適度な情熱や好奇心をキャリアに織り交ぜる重要性が説かれます。

 

自分でキャリアを切り拓く「キャリア自律」の精神に、

もうひとつまみのエモーションを加えることで、

より充実した働き方が実現できると提言しています。

 

第9章 「組織との新しい関係」を築く

第9章では、会社と個人の関係を見直し、新しい付き合い方を提案します。

 

企業側には「社員を育てても辞められては困る」という不安が、

社員側には「会社に尽くしても報われないかも」という疑念があり、互いに本音を隠しがちです。

 

本章ではこの相互不信を解消するため、

会社と「ゆるくつながる」姿勢が勧められます。

 

会社一筋ではなく、適度な距離を保ちながら副業や社外交流、

自己研鑽など自分の成長に役立つ活動を並行して行うのです。

 

すぐに退職するのではなく段階的に社外への時間配分を増やす

「コミットメント・シフト」という戦略には、

リスクを抑えつつキャリアの選択肢を広げる利点があります。

 

また社外の世界を見るほど、

自社の良さに気づき今の会社に留まる意義を再認識できるという副次効果も指摘されます。

 

さらに「なぜ自分は今の会社を辞めないのか」を自問し、

本当に大切な価値(自分が今の会社にとどまる理由)を言語化してみることで、

会社との新たな信頼関係を築くきっかけになると述べられています。

 

第10章 「新しい安定」を実現する働きかたのデザイン

最終章では、これまでの内容を踏まえ、選択肢が多くゆるい職場時代における

具体的なキャリアデザイン戦略が示されます。

 

鍵となるのは、遠回り(寄り道)と近道を組み合わせて自分のキャリアを切り拓くことです。

 

寄り道①: 小さく始める(スモールステップ)

今の環境でできる小さな挑戦から着手し、

明確なミニ目標を設けて成功体験を積み重ねます。

 

近道①: 同時並行でつくる(キャリア・キャンペーン)

本業という“ホーム”を維持しつつ、社外活動などアウェイの挑戦も並行して行います。

複数の取り組みを走らせ相乗効果を狙う戦略です。

 

近道②: 意味づける(センシング)

日々の経験を振り返り、意味を見出す習慣を持ちます。

信頼できる人を勝手に「メンター役」に想定して自分の出来事を語ってみる、

第三者視点で自己を客観視するなどにより、経験から最大の学びを引き出します。

 

寄り道②: ずらしてつくる(コミットメント・シフト)

いきなり会社を辞めるのではなく、時間・エネルギー・資金の配分を少しずつシフトし、

新しい挑戦へのコミットを増やしていきます。

 

現在の仕事と並行して準備を進めることで、リスクを抑えつつキャリアの幅を広げます。

 

最後に、こうした取り組みが順調に進んでいるかを測る

4つのチェックポイントも提示されます。

(1)「言い訳資本」(新たな挑戦を正当化できる小さな実績やリソース)を蓄えられたか、

(2) 周囲から共感を得たり自分の中に違和感を覚えたりする感度を持てているか、

(3) 適度な不安や焦りを感じられているか、

(4)「追いつきたい」と思える対象を見据えているか

 

これらを確認しつつ軌道修正することで、

自分なりの「安定したキャリア」を築けると本書は結んでいます。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

本書を通じて感じたのは、「人はいつからでもやり直せる」という希望です。

 

本書のメッセージは決して悲観的なものではなく

環境の変化を嘆くのではなく、自分の手で未来を切り拓こうとする前向きなエールに満ちています。

 

データに裏打ちされた論理的な解説と、

「やってみよう」と思わせてくれる温かい語り口が両立しており、

読後には不思議とやる気が湧いてくる1冊でした。

 

本書が気になる方は、是非手に取ってみてください!

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