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『これはいつかのあなたとわたし』のあらすじと感想について

エッセイ

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、燃え殻さんの

『これはいつかのあなたとわたし』について紹介をしていきます!

 

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『これはいつかのあなたとわたし』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

日常にそっとオアシスをもたらす1冊です。

 

本書をオススメしたい人

  • 忙しない毎日に疲れて心の癒やしを求めている人
  • 自分の失敗や弱さを笑い飛ばしたい人
  • 郷愁を誘う人情エピソードが好きな人

 

本書は、原稿を泣きながら読んだ編集者とのやり取り、

人気グループBE:FIRSTのLEOが涙ながらに語った決意、

緊張のあまり初めてのラブホテルで失神してしまった大失態、

母の忘れられない口癖、ラジオ番組に届いたブラックな人生相談など

著者の燃え殻さんが過去と現在に体験した

日常と非日常の「忘れられない/忘れかけたこと」が

ユーモラスかつノスタルジックに綴られています。

 

抱腹絶倒の笑い話から郷愁を誘う静かな思い出話まで

バラエティ豊かなエピソードが並び、誰の心にも刺さる普遍的な魅力にあふれています。

 

笑えなかった昔の自分を思い出してクスッとしつつ、

どこか哀愁漂うエピソードに共感が湧いてきます。

 

まさにタイトル『これはいつかのあなたとわたし』が示す通り、

誰もがいつか経験したことのある感情や情景にそっと寄り添ってくれる1冊です。

 

『これはいつかのあなたとわたし』のあらすじ

忘れられない瞬間を紡いだ笑いと哀愁のエッセイ集

「人も街も夢も変わっていく」。そんな移りゆく日々の中で、

燃え殻さんは自身が出会った忘れがたい場面や感情を丁寧にすくい上げ、

ユーモアと哀愁を込めて綴っています。

 

本書は、著者が週刊誌で連載してきたエッセイをまとめた1冊で、

タイトルが示すように描かれるのは「いつかのあなたとわたし」

つまり誰もが心当たりのあるような出来事の数々です。

 

例えば、小学生時代の著者は、

うっかり妹のピンク色のパンティーを履いたまま登校してしまうという

仰天エピソードを体験しています。

 

本人にとっては赤面ものの失敗ですが、

本書ではこの事件をユーモラスに振り返り、当時の情景を生き生きと描写されています。

 

幼い日の自分のドジぶりに苦笑しつつも、

その無邪気さにどこか愛おしさすら覚えるような一篇に仕上げています。

 

成長してからも、燃え殻さんの“やらかし”体質は健在です。

 

初めて彼女とラブホテルに行った際には、緊張のあまり浴室で意識を失って倒れてしまい、

挙句に失禁までして恋人に介抱されるという大失態を演じてしまいました。

 

普通なら黒歴史として封印しておきたい出来事ですが、

著者はこの苦い思い出をユーモアたっぷりに書き記します。

 

また、ただ笑えるだけでなく心に染みる出会いのエピソードも描かれます。

 

人気グループBE:FIRSTのメンバー・LEOさんが

涙ながらに将来への決意を語った場面では、そのひたむきさに著者も胸を打たれました。

 

他者の真剣な思いに触れる瞬間を通じて、

時代や世代を超えた共感とエールが交差します。

 

さらに、燃え殻さん自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で、

リスナーから寄せられたブラックユーモア混じりの人生相談に触れる一編もあります。

 

深刻な悩みですら笑いに変えてしまう軽妙な語り口から、

暗い話題にさえ優しい光を当てる著者の人柄がうかがえます。

 

そして、著者のプライベートな思い出も丁寧に綴られています。

 

入院中にも関わらずベッドを抜け出してタバコを吹かし、

笑顔を見せていたお祖母さんの姿には、思わず頬がゆるむと同時に、

著者が何があってもくじけずに生きてこられた理由が垣間見えます。

 

こうしたエピソードには、家族や恋人だけでなく、

学校の同級生や先生、友人、仕事仲間、

そして見知らぬ他人まで実に多くの人々が登場します。

一見すると変わり者だったり失礼な人物だったりもしますが、

著者のペンは常にユーモアと愛情をもって彼らを描き出すため、

どのエピソードも嫌味がなく楽しく読み進められます。

 

なお、本書ではエッセイの合間に、

著者と親交の深い漫画家・大橋裕之さん描き下ろしの

ショート漫画が数篇挟まれています。

 

文章では語りきれない場面をコミカルに補完する漫画パートも必見で、

ユニークなコラボレーションが作品世界をいっそう豊かに広げています。

 

また、ユニークな視点も光ります。

例えば「人生はぬか喜びの連続な気がする」

「底辺は存在しない」といった印象的なフレーズに象徴されるように、

物事がうまくいきそうで肩透かしに終わる日常の滑稽さや、

社会で言う「最底辺」など本当は存在しないのだという

著者の含蓄ある主張が随所に盛り込まれています。

 

どんな人にもその人なりの物語や大切な何かがある

そんな優しい視点にハッとさせられる読者も多いでしょう。

自分の失敗を飾らずさらけ出す燃え殻さんだからこそ、

どんな弱さや情けなさも肯定してくれるような包容力がにじみ出ています。

『これはいつかのあなたとわたし』の感想

ダメな自分も受け入れられる優しいエッセイ

燃え殻さんのエッセイは、一見ただの自虐エピソードの連続なのに、

不思議と読者の心を前向きな方向へと導いてくれるのです。

 

本書に収められたエピソードの多くは、

本人曰く「みじめ」で「情けない」「トホホ」な失敗談ばかりです。

 

通常なら度重なる自虐ネタは読んでいて辛くなったり、

かえって嫌味に感じられたりしがちでしょう。

 

ところが燃え殻さんの場合、その自虐が全く嫌みに感じられません。

 

むしろ彼の語りには妙な余裕と飾り気がなく、

素直に「あ、こりゃひどいや」と笑って受け取れるのです。

 

自分の弱さや失敗をここまで包み隠さず披露できる著者だからこそ、

読者も安心して笑うことができ、

同時に「こんな情けない話を笑っていいんだ」と肩の荷が下りるような気持ちになります。

 

実際、あのラブホで失神したエピソードを読んだとき、

私は笑い転げながらもなぜかほっとするものが込み上げてきました。

 

他人の壮絶な失敗談というのは本来気の毒に思えてしまうものですが、

不思議と「いや、それほど大したことじゃないよ」と

励まされているような心地になるからです。

 

燃え殻さんが自らの弱さをさらけ出すことで、

こちらの弱さまで優しく受け止められたように感じられる読書体験でした。

 

また、随所に描かれるノスタルジックな情景も印象的です。

 

とりわけ心に残ったのは、知らない土地で子ども時代に

迷子になってもまったく怖くなく、むしろそれを嫌いじゃなかったという回想でした。

 

その一文を読んだ瞬間、自分自身の幼い頃の記憶がふっと呼び覚まされ、

あの何とも言えない心細さと冒険心が入り混じった感覚をありありと思い出しました。

 

燃え殻さんの筆致は詩的で叙情的でありながら決して嫌みにならず、

読者それぞれの原風景を静かに映し出してくれる力があるように思います。

 

また、読んでいる最中に情景が頭の中に自然と浮かんでくる

描写の鮮やかさにも驚かされました。

 

帯にも「名画のラストシーンが珠玉の短篇集みたいなエッセイ集」という惹句がある通り、

一篇一篇がまるで短い映画のワンシーンのように心に焼き付くのです。

 

文章だけでここまで読者のイマジネーションを刺激できるのは、

著者の観察眼と表現力の豊かさゆえでしょう。

 

加えて、文章の端々に散りばめられた

ユーモア溢れる比喩や言い回しにもセンスを感じます。

 

ときにブラックな表現が顔を出すこともありますが、

それすら自分や身内へのセルフツッコミになっていて後味の悪さは皆無です。

 

笑いのセンスと人柄の良さが絶妙な形で同居している稀有な書き手だと、

本書を読んで改めて思いました。

 

さらに特筆したいのは、著者のまなざしの優しさです。

 

登場する人物たちは一見するとダメ人間だったり非常識だったりしますが、

その一人ひとりに対して著者は愛情とリスペクトをもって接しています。

 

燃え殻さん自身が筋金入りのドジだからか、

「ダメな人間に優しい」ことが本書の随所から伝わってきます。

 

相手の欠点も笑い飛ばしつつ受け入れる懐の深さに触れると、

読者としても人に対して寛容な気持ちになれるから不思議です。

 

なお、本書はオムニバス形式のエッセイ集であり、

それぞれの章が独立した短編のようになっています。

 

そのため、物語を追うというよりは著者のトークを一話一話楽しむ感覚に近く、

一気読みするよりも少しずつ噛みしめるように読むことができます。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

燃え殻さんの飾らない語り口は、

まさに「隣の兄ちゃん」的な親しみやすさにあふれており、

決して説教臭くなく、かと言って軽薄でもなく、

絶妙なバランスで心に寄り添ってくれるエッセイ集だと思います。

 

本書が気になる方は、是非手に取ってみてください!

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