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『君が面会に来たあとで』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、Z李さんの

『君が面会に来たあとで』について紹介をしていきます!

 

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『君が面会に来たあとで』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

犯罪と純愛が同居するアウトロー文学の醍醐味を味わえる1冊です。

 

本書をオススメしたい人

  • 都会の闇や裏社会をリアルに描いた社会派小説が好きな人
  • 短編やショートショート形式の斬新なストーリー展開を楽しみたい人
  • 刺激的な犯罪譚の中にも人間味や純愛を見出したい人

 

本書は、全30篇からなる短編集です。

 

著者自身が、表と裏の境界線上にいるインフルエンサーであり、

歌舞伎町をはじめとする繁華街のアンダーグラウンドな世界を

熟知した立場から執筆されています。

 

各物語はわずか数分で読める長さながら、

「どこまでがフィクションでどこまでが真実?」と思わず自問してしまうほど

リアルに描かれており、読む者を不思議な魅力に引き込みます。

 

扱われるテーマは恋愛、ミステリー、SFと多岐にわたり、

歌舞伎町の路地裏で蠢く人々の日常が多彩なタッチで活写されています。

 

著者Z李は超短編集の名手・星新一の大ファンであり、

幼少期に受けた衝撃を原体験に、

本作でも意外性に富んだアイデアと結末が盛り込まれています。

 

結果、生み出された物語群はアウトローな世界観を舞台にしつつも

ラストにハッとさせる展開と言葉遊びが光り、

同時にその底流には純粋な人間味も流れる作品集となっています。

 

現代日本の繁華街に実在しそうな闇社会の風景と、

そこで生きる人間たちの矛盾や哀歓を、

親しみやすい語り口と論理的な筆致で描き出した1冊です。

 

『君が面会に来たあとで』のあらすじ

あらすじの概要

どこからが虚構で、どこからが真実?

言葉の売人、Z李が紡ぐ30のショートショート

立ちんぼから裏スロ店員、ホームレスにキャバ嬢ホスト、公務員からヤクザ、客引きのナイジェリア人にゴミ置き場から飛び出したネズミまで。

繁華街で蠢く人々の日常を多彩なタッチで描く、東京拘置所差し入れ本ランキング上位確定の暇つぶし短編集!

◎歌舞伎町・半地下の裏カジノは、要人たちも通い詰める“闇の社交場”(『東九歌舞伎町タワーアンダーグラウンド』)

◎恐怖の“勘繰り”地獄。覚醒剤中毒者の頭の中(『日曜日ダルク十六時』)

◎年間2000件の捜索願。歌舞伎町を取り巻く闇の正体とは(『チャイエスの客が消えた』)

◎新宿の路地裏のペットショップ。裏口では“人間”を売っている?(『ペットショップの裏口』)

◎闇金で借りた金を“競馬”で返済しようとしたら……(『ゼウスサンダーが駆けた日』)

◎大麻リキッドを売りまくって、人生終わるかと思った(『手押し魔人BOO』)

◎そっくりの容姿の“ホス狂い”ばかりが襲われる、奇妙な連続殺人事件(『ホス狂い殺人事件』)

◎不法滞在者が帰れない理由。パスポートを返さない“紹介者”の闇(『最後のレバーオン』)

◎500円で“予想”売ります。元競艇選手のセカンドキャリア(『ボートレーサーだったタカちゃん』)

君が面会に来たあとでより

 

アウトロー短編集:社会の裏側で紡がれる愛と闇

本書には、歌舞伎町の歓楽街を中心とした

裏社会の様々な人間模様を描く30の短編物語が収録されています。

 

各話ごとに異なる主人公たちが登場し、

売春、賭博、薬物、詐欺、殺人など知ってはいけない世界の日常が垣間見える構成です。

 

たとえば、半地下に存在する違法カジノでは

政治家や財界人までが足繁く通う闇の社交場が描かれ、

覚醒剤中毒者の被害妄想に満ちた狂気の頭の中がリアルに再現されます。

 

また、新宿の裏路地のペットショップで裏口から

人間を商品として売買する人身売買の実態、

闇金融から借りた金を競馬の大穴で返済しようともがく男の結末、

さらにはホスト狂いの女性ばかりを狙った連続殺人事件の謎や、

不法滞在の外国人からパスポートを取り上げ巧妙に逃げ道を絶つブローカーの暗躍など、

社会の裏側を扱ったストーリーが次々と展開していきます。

 

それぞれの描写があまりにも生々しく、

読者は「こんな世界が本当にあるのだろうか」と背筋が寒くなると同時に、

その発想の飛躍や意外なオチに驚かされます。

 

しかし本書の魅力は単なる猟奇的・刺激的な出来事の羅列に留まりません。

 

どの物語にもアウトローな登場人物たちの人間臭さや哀感が漂っており、

読み進めるうちに不思議と彼らに共感や切なさを覚える瞬間があります。

 

特に印象的なのが、表題作でもある「君が面会に来たあとで」のエピソードです。

 

本作は30話の掉尾を飾る異色のラブストーリーとなっており、

ある男性が拘置所で恋人の女性と面会した後に綴る独白形式の物語になっています。

 

裏社会に身を置く登場人物にも心の休息や拠り所が必要であることを示すかのように、

彼は鉄格子越しに面会に訪れた一人の女性への募る想いを語り、

離れていても変わらぬ愛情を痛いほどに吐露します。

 

冷酷非情な世界に生きる彼もまた一人の人間であり、愛する人を想う純粋さを秘めているのだと

読者に気付かせてくれる感動的な結末となっています。

 

このように本作の各篇は、衝撃的な闇の物語で読者を圧倒しつつ、

その根底に人間への優しい眼差しと余韻を残す構成となっています。

 

『君が面会に来たあとで』の感想

フィクションと現実の狭間で味わう30の衝撃と余韻

本書を読み終えてまず感じるのは、その妙にリアルな世界観と中毒性です。

 

歌舞伎町の喧騒やネオンのきらめき、そこに集う人々の興奮と虚無

そうした現代のアンダーグラウンドな風景が克明に描かれており、

まるで自分も深夜の歌舞伎町を歩いているかのような臨場感があります。

 

そして著者Z李の筆致は驚くほど冷静で客観的です。

猥雑な街の空気感や人々の欲望を淡々と綴ることでかえって現実味が増し、

「これが本当にフィクションなのか?」という疑念すら湧いてきます。

 

その一方で、各短編には必ず意表を突く展開やオチが用意されており、

読む側は毎回良い意味で裏切られることになります。

 

わずか数ページの中に緩急自在のストーリー展開と鋭い切れ味の結末が凝縮されており、

ページをめくる手が止まらなくなりました。

 

また、本書は単なる犯罪エピソード集ではなく、社会性と人間味を備えた作品だと感じました。

 

登場人物たちはヤクザや売春婦、ホームレスに外国人労働者まで多種多様で、

彼らが置かれた環境や抱える問題は現実社会の縮図と言えます。

 

貧困や差別、搾取といったテーマが各所に散りばめられており、

読み進める中で現代社会の歪みや闇の部分に自然と考えを巡らせました。

 

それでいて作者の視点にはどこか温かみも感じられます。

 

弱肉強食の世界に生きるアウトローたちを突き放して描くのではなく、

むしろその内面にある矛盾や純粋さに焦点を当てているからです。

 

合法と違法、表社会と裏社会、その境界線上を渡り歩く著者だからこそ

描けたであろう言葉の数々には不思議な説得力があり、

読者はいつの間にかそんな登場人物たちの人生に引き込まれてしまいます。

 

さらに特筆すべきは、アウトロー小説でありながら随所に垣間見える純粋さや情です。

 

暴力や犯罪を題材にしつつも、人情味や愛といった要素が巧みに織り込まれているため、

読後には不思議と心に温かいものが残ります。

 

著者自身「不良文学の醍醐味は圧倒的なピュアさにある」と語っていますが、

まさに本作でも闇社会に生きる人物たちの中に人間臭い優しさや仲間意識、

そして純粋な恋情までもが描かれていました。

 

例えば表題作では犯罪者である主人公が見せた一途な愛情に胸を打たれましたし、

他の物語でも登場人物同士の絆や義理人情が垣間見える場面がいくつもありました。

 

最後に、本書の構成面についても触れておきます。

全30話というボリュームながら一話一話が短いため非常にテンポ良く読めますし、

それぞれ趣向の異なるプロットのおかげで飽きることがありません。

 

恋愛風の話があれば次は怪奇ミステリー調、その次は風刺の効いたSF風といった具合に、

ジャンルの振れ幅が大きい点もショートショート集として面白い試みだと感じました。

 

また、連作短編集ではないものの全体を通して

共通する舞台(歌舞伎町)やテーマ(裏社会)があるため、

雑多な印象にならず一貫した世界観が構築されているのも巧みです。

 

短編集でありながら一つの長編を読み終えたような満足感があり、

編集の妙も光っているように思います。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

刺激と余韻、社会批評性と人間味が高次元で融合した秀逸な短編集でした。

普段なかなか触れることのない夜の街の裏側を垣間見せつつ、

その世界に生きる人々の喜怒哀楽を巧みに描き出す語り口に引き込まれっぱなしでした。

 

本書が気になる方は、是非手に取ってみてください!

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