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中村文則 著書「カード師」の感想とまとめ

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は中村文則さんの「カード師」について紹介します。

本書の印象に残った部分や感想を記載していきます。

 

本書について

主人公は占いを信じていない占い師であり

違法カジノのディーラーでもある「僕」です。

 

そんな「僕」にある組織から、

「冷酷な資産家である『佐藤』の顧問占い師となること」

という指令が舞い込みます。

 

指令を受けていく中で、

占い師とディーラーと2つの顔を持つ主人公が

カードに運命を翻弄されていく物語です。

 

本書をおすすめしたい人

・中村文則さんのファンの方

・考えさせられる作品が好きな方

・歴史がお好きな方

 

「教団X」「掏摸」「 R帝国」「逃亡者」をはじめとする

ヒット作の数々を世に送り出された中村文則さん。

 

そんな著者の作品の特徴として

目を背けたくなるような、人や世の中の闇の部分を

包み隠さずに強烈に伝えてくれるところです。

 

主人公をはじめとする登場人物の過去の中で

歴史について書かれているシーンもあるので

歴史がお好きな方にもおすすめです。

 

「カード師」の感想とまとめ

主人公の「僕」について

主人公の職業についてですが、

表向きは「トランプとタロットを用いるカード師」です。

一方で「非合法のカジノでディーラー(進行役)」もしています。

 

占いをしているときは、

ポーカーフェースの天才のようにふるまっていますが、

実際は手品師になり損ねた過去があります。

 

その為、占いも信じていないイカサマのカード師だったのです。

 

佐藤という男

主人公がある組織から、

「資産家の佐藤という男に近付き、

 専属の占い師として素性を探れ」と依頼を受けます。

 

組織の指示で向かった高級ホテルの一室で

「佐藤」と面会するのですが、

「佐藤」は不気味な雰囲気を漂わせており、

異常なほど占いに心酔している男でした。

 

そんな佐藤に対して主人公は

カードを駆使した結果、

なんとか占いを的中させて佐藤を信用させることに成功します。

 

しかし佐藤の秘書から

あの男とは関わらない方がいいです。」と言われます。

 

その理由は、

これまで佐藤は何人もの人を殺しており

主人公の前任者の占い師も、佐藤に殺されたのです。

 

佐藤は狂気に近い執着心で、

本物の占い師を探し求めています。

 

彼が一体何を知りたがっているのか。

それは、神を求め続けた末に虚無に陥った人類の絶望の歴史と非常に似ているのです。

 

理不尽な状況下の主人公

辞めたくても組織の指示に背くことができない主人公は

佐藤と顧問契約を結ぶことになります。

 

占いを外せば殺されるという状況で

日々めくるカードは、主人公自身の運命も握っているのです。

 

外したら、佐藤に命を奪われて、逃げたら組織に狙われる運命の中、

全く占いを信じていない主人公は

「めくるカードを信じざるを得ない」という状況になります。

 

そんな理不尽な日々の中で、それぞれの過去が明らかになってきます。

 

そもそも佐藤は、なぜそこまでして占いを求めるのか?

なぜ「僕」は占いも信じていないのにカード師になったのか?

 

真実にたどり着いた「僕」は

祈りを込めて、カードをめくります。

 

ポーカーゲームのシーン

作中で何度か繰り広げられるポーカーゲームのシーンがあります。

このシーンは「相当力を入れて書かれているなー」と感じました。

 

互いの裏を探り合い、だまし合い、

隙を突き合うスリル満点な展開にはハラハラさせられます。

 

人が極限状態になると

「何を考えるのか。」「どういう行動をとるのか。」

「その結果どうなるのか」などが

かなりリアルに書かれているように感じました。

 

ここではカード師としてではなく、

カジノゲームとしての「カードをめくる」という行為に注目してしまいます。

 

人生に大きく関わってくるというシーンでもあり、

占いとはまた別の意味で「カードをめくる」について描かれています。

 

最後に

ここまで本書のを紹介してきました。

 

中村文則さんは、本書について以下のように述べています。

絶望するにはまだ早い。

そんな風に思っていただけたら嬉しいです。

 

本書は、オウム真理教や東日本大震災、新型コロナに襲われた

私たちの歴史にも物語は関わっており、

世界を一変させる圧倒的な力に、

無力な私たちはどう立ち向かっていけばよいのか。」という

切実な問いかけが本書を貫いています。

 

一方で無力ながら、

世の中に居場所を見つけられていない人物が、

少しずつ世の中との距離を縮めるという

帰結になる部分もあり、微かな希望を感じられます。

 

もし本書が気になられた方は、是非手に取ってみてください!

 

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