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『おいしいごはんが食べられますように』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、高瀬隼子さんの

『おいしいごはんが食べられますように』

について、紹介をしていきます!

 

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『おいしいごはんが食べられますように』について 

本書の概要

本書は、第167回芥川賞を

受賞した作品です。

 

本書をオススメしたい人

・芥川賞を受賞した作品が気になる人

・不気味な話が好きな人

・職場で過ごしづらい人

 

本書は職場内の

人間関係の物語です。

 

身体が弱く、大変な仕事は

断りつつ同僚に手作りのお菓子を作り

周囲に好感を持たれる女性社員に

頑張り屋な同僚女性と

食に歪んだ感覚を持つ男性社員の2人が

いじわるを計画する話です。

 

『おいしいごはんが食べられますように』のあらすじ

あらすじの概要

「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」

心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。

ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。

引用元:おいしいごはんが食べられますように 

 

芦川は、体力のなさや片頭痛や

過去に男性から高圧的な態度のトラウマから

すぐに仕事を断ります。

 

また、会社全体でも

芦川にきつい仕事を

回さないようにしています。

 

芦川の1つ下である押尾は

彼女のそんな性格や会社の待遇に不満を持ち

同僚である男性社員の二谷へ愚痴をこぼします。

 

わたし芦川さんのこと苦手なんですよね」といい

理由は、その日は社外研修会があったが

芦川は体調不良を理由に

当日欠席したことでした。

 

「職場で、同じ給料もらってて、なのに、あの人は配慮されるのにこっちは配慮されないっていうかむしろその人の分までがんばれ、みたいなの、ちょっといらっとするよな。分かる」

と、二谷も同調します。

 

毎日定時で帰れるのに

ボーナス同じ額で

出世はなくても、のらりくらりと定年まで働ける。

.

そんな「最強の働き方」をしている芦川が

むかつくような、うらやましいような。

でも、ああはなりたくないから「苦手」なのです。

 

そして押尾は

わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」と

二谷に提案します。

 

いっぽうの二谷は

芦川のか弱い部分が好きになり

内密に付き合います。

 

付き合う前の3回目のデートで

居酒屋に行き「おいしい、おいしい」と繰り返す芦川に、

「食べるのが好きなんですね」と二谷が聞くと

「どうなんでしょう。よりきちんと生きるのが、好きなのかもしれないです。

食べるとか寝るとか、生きるのに必須のことって、好き嫌いの外にあるように思うから」

と答えました。

 

食に向き合う時間を強要してくるところに

苛立たつ二谷ですが

「弱弱しさの中に、だから守られて当然、

といったふてぶてしさがある」という理由から

芦川に、二谷は妙に惹かれます。

 

二谷は芦川さんから

おいしい手料理をふるまってもらいますが

食事自体に興味がなく

「おいしい」と言いながら食事をすることに

疲れと無意味さを感じていました。

 

しかも二谷は

「カップ麺でいいのだ、別に。腹を膨らませるのは。

ただ、こればかりじゃ体に悪いと言われるから問題なのだ」

と考えているくらいです。

 

ある日、職場に

甘い匂いが漂っていました。

 

「みんなより先に帰してもらっちゃってるから」と言い

芦川は手作りのお菓子を

持参して配るようになります。

 

芦川はやがて同僚から

好感を持たれるようになり

管理職の男性からは

よりいっそう保護される存在になります。

 

そんなとき、会社内で起きた事件で

事態は思わぬ方向へ進みます。

 

ネタバレを含むあらすじ

以下より、ネタバレを含んだ

あらすじとなります。

 

芦川の手作りお菓子を

無残に潰したものが

芦川の机の上に置かれるようになります。

 

実際にお菓子を潰していたのは

恋人の二谷でしたが

押尾がその責任を追及されたことで

押尾は退職することになります。

 

退職する前に二谷と押尾は

二人で居酒屋に行きます。

 

そして二谷との別れ際に

押尾は食に興味がない二谷とは、

「おいしい」感覚を共有する必要がなくて

居心地がよかったと言います。

 

さらに二谷も

千葉の営業所へ異動になります。

 

そして、二谷と押尾のための

送別会が開かれますが

押尾は欠席します。

 

送別会の会場で

芦川は二谷と押尾のために

手作りケーキを持参し

みんなで美味しそうに食べます。

 

すると二谷は

みんながいる中で芦川に

「結婚しそう」と言います。

 

そして芦川は笑顔で

二谷においしいご飯を作ると宣言します。

 

『おいしいごはんが食べられますように』の感想

同調圧力の毒々しさ

ほっこりした表紙やタイトルに

騙されてはいけない

読んだ直後に感じました。

 

本作は 不穏で

心がザワザワする物語です。

 

食事を楽しみたい人の

人間関係の話かと思いきや

食事に意味を持ちたくない二谷と

努力家だからこそ

損をしてしまう押尾の

2人の視点で物語が進みます。

 

仕事はできず

体調不良ですぐ早退し

嫌な仕事はドタキャンするが

手作りのスイーツを作って

社員に絶賛される芦川を

周りは称賛します。

 

ですが、二谷は食事面から

押尾は仕事面で

芦川をに嫌悪感を抱くことが多く

読者も芦川の

鈍感さと女子らしさから

ものすごく嫌悪感を抱きます。

 

しかし、押尾のような

器用で努力家で優秀な人が

同調圧力に負けて損してしまうのが

世の中の怖いところであり

皮肉っているのが

本書の魅力だなと感じました。

 

人間味が感じられる押尾に

共感出来ることも多いなか

食事に意味を見出さない二谷が

最終的には芦川と結婚を予感し

かわいいと思ってしまうあたりが

同調圧力に負けた人間の姿である!

と見せつけられた感じがしました。

 

同調圧力に飲まれるか

負けて逃げるかの2択しかないのが

現実であることを

読者に気付かせるあたりが

本書の最大の魅力だなと思いました。

 

芦川視点で物語が進まなかったことから

彼女は結局

図太いのか?鈍感なのか?

その答えを知りたくなってしまいました。

 

「おいしいごはんを食べられますように」と

ごはんを食べることを否定するのではなく

ご飯をおいしいと言うことが

当たり前だという同調圧力

肯定感を出せば出すほど

裏側に不穏な空気を感じてしまいました。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

芥川賞を受賞した本作は

表紙やタイトルからは

想像もつかないくらいの

ざわつく物語でした!

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

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