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『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』の要約について

ノンフィクション

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、早見和真さんの

『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』について紹介をしていきます!

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『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

スキャンダルの渦中にいた当事者の肉声に耳を傾ける1冊です。

 

本書をオススメしたい人

  • ジャニーズアイドルのファンで、舞台裏の物語を知りたい人。
  • 芸能界の歴史や大手事務所の内情に興味がある人。
  • 性加害スキャンダルの真相に関心があり、当事者の証言を読みたい人。

 

本書は、ジャニーズ事務所元社長・藤島ジュリー景子氏への

47時間に及ぶロングインタビューをまとめたノンフィクション作品です。

 

著者である小説家・早見和真氏が聞き手となり、

彼女の半生と旧ジャニーズ事務所の内情を本人の肉声で記録した貴重な1冊となっています。

 

藤島ジュリー景子氏は、故ジャニー喜多川氏の姪にあたり、

ジャニーズの人気グループ「嵐」や「TOKIO」を手掛けたプロデューサーであり、

2023年の性加害スキャンダルで厳しい批判にさらされた人物です。

 

本書では、彼女が初めて胸の内を明かし、嵐との出会いと活動終了、

叔父ジャニー喜多川との関係、母メリー喜多川との確執、

ファンやタレントへの想い、そして事務所廃業に至るまで

その複雑な経験と思いが余すところなく語られます。

 

単なるインタビュー集に留まらず、

藤島氏個人の物語を通してジャニーズ事務所の裏側が分かる貴重な記録となっています。

 

『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』のまとめ

幼少期から事務所へ – 家族と人生の原点

本書の序盤では、藤島ジュリー景子氏の生い立ちや家族関係が語られます。

 

彼女はジャニーズ事務所創業者ジャニー喜多川の姪であり、

母は同事務所の名物副社長だったメリー喜多川です。

 

幼少期から特殊な芸能一家に育った藤島氏ですが、

「人生をどこからやり直したいですか?」という第一章の問いかけに対し、

自身の過去を振り返りながら後悔や覚悟について考えを述べています。

 

第二章「『家族』という単語から何を連想しますか?」では、

家族の重みとしがらみについて率直に語られ、母・メリー氏との関係に話が及びます。

 

藤島氏は母メリーから強い影響を受けつつも、

その関係は決して良好ではありませんでした。

 

彼女曰く「母・メリーさんは、私が従順な時は優しいが、

少しでも意見が違うと狂ったように怒り叩き潰す人でした」と述べており、

若い頃からそのプレッシャーで過呼吸を起こし倒れてしまうこともあったと告白しています。

 

実際、メリー氏に逆らえないまま半ば強制的にジャニーズ事務所の取締役に就任したものの、

経営権は与えられず、2008年から2018年に新社屋が完成するまでの約10年間、

一度も本社オフィスに足を踏み入れなかったとも明かされています。

 

これは、彼女がタレントの待遇改善や事務所改革を試みたことに

母と叔父(ジャニー氏)が激怒し、藤島氏を事実上遠ざけたためでした。

 

また、ジャニー喜多川氏との関係も意外に希薄で、

「生まれてから一度も二人きりで食事をしたことがない」と語っています。

 

せいぜいデビュー前のグループに同行して渡米した際に通訳として接した程度で、

深い対話はなかったそうです。

 

こうした背景から、彼女は「家族」でありながら事

務所内では孤立した存でもあったことが伺えます。

 

アイドルとの歩みと内部抗争

第三章以降では、藤島氏のジャニーズ事務所での歩みが具体的に語られていきます。

 

藤島氏は1990年代後半から母メリーの下で芸能プロデューサーのキャリアを積み、

嵐やTOKIOといった国民的グループを手掛けました。

 

第四章「『嵐』との出会いについて」では、

嵐を国民的アイドルへと導いたエピソードが綴られ、

デビュー当時の秘話や彼らとの信頼関係が明かされます。

 

藤島氏自身、嵐とは二人三脚で歩んできたと述懐しており、

そのプロデューサーとしての熱意と戦略が感じられる章となっています。

 

また、本書巻末の追記では嵐の活動休止発表を受けた際の心境にも触れられており、

プロデューサーとして彼らを見守ってきた藤島氏ならではの複雑な思いが記されています。

 

一方で、事務所内の派閥争いや内部抗争にも本書は踏み込んでいます。

 

第七章「『事務所内に派閥がある』という意識はありましたか?」や

第八章「あの『週刊文春』について。あの『SMAP×SMAP』について」では、

ジャニーズ事務所内で長年取り沙汰されてきた「ジュリー派 vs 飯島派」問題ついて

藤島氏自身の視点から語られています。

 

特に2016年のSMAP解散騒動に至る経緯として有名な、

当時のマネージャー飯島氏との確執や、週刊文春の報道、

そしてSMAPメンバーによる生放送での謝罪(『SMAP×SMAP』での謝罪イベント)について、

藤島氏はその舞台裏で何が起きていたのか、自分がどう関わっていたのかを詳細に明かしています。

 

彼女は自身が2008年以降しばらく経営の中枢から外されていたため、

SMAP独立騒動には直接関与していなかったとしつつも、

この内紛が事務所にもたらした混乱について語り、当時の心境を振り返っています。

 

派閥争いの内幕やメディア報道への苦言など、

これまで表に出なかったエピソードが多数盛り込まれており、

読者にとっても衝撃的かつ興味深い部分です。

 

さらに第六章「結婚がもたらしたものは?」では、

藤島氏のプライベートと仕事の関係にも触れられます。

 

彼女は過去に結婚し娘をもうけましたが、家庭と事務所経営の板挟みや、

家族であることが逆に仕事上の圧力となった経験についても言及しています。

 

この章では、女性経営者としての葛藤や私生活との両立の難しさが語られ、

彼女が下した決断(家庭を守るための離婚という選択)についても触れられています。

 

芸能ビジネスの世界で家族経営に携わることの光と影が垣間見える内容で、

読後には「何人たりとも、生まれる家庭は選べない」という言葉の重みを感じさせます。

 

ジャニー氏の死、性加害問題、そして廃業へ

本書の後半(第九章以降)は、ジャニー喜多川氏の死と

その後に表面化した性加害問題に焦点が当てられます。

 

第九章「ジャニー氏の亡骸を前に感じたことは?」では、

2019年に叔父ジャニー氏が亡くなった際の藤島氏の胸中が語られます。

 

長年距離のあった叔父の最期に接し、藤島氏は複雑な感情を抱いたといいます。

 

悲しみだけでなく、ジャニー氏が築いた巨大帝国をこれから自分が背負うという重圧、

そしてその背後に横たわる問題に薄々気付いていたことへの戸惑いといった思いが赤裸々に明かされています。

 

続く第十章「『知りませんでした』の言葉を信じることができません」

および第十一章「性加害を認められた理由はなんですか?」では、

ジャニー喜多川による長年の性加害疑惑と、藤島氏自身の対応について掘り下げられます。

 

藤島氏は2023年初頭まで、ジャニー氏の行為について

「知らなかった」と主張して批判を浴びました。

 

しかし本書の中で彼女は、その態度が世間に通用しなかった理由を

真正面から問われ、自らの心情を吐露しています。

 

藤島氏は「知らない方が自分が傷つかずに済むと思っていた」と述べ、

問題から意図的に目を背けていたことを認めています。

 

自分でも「深追いして傷つくことを恐れて、万事そうしてしまう癖があった」と自己分析し、

その結果として被害を防げなかったことへの後悔を語りました。

 

それでも彼女は、被害者たちの声に直面したことで考えを翻し、

ついに2023年9月の記者会見で性加害事実を認め謝罪しました。

 

第十一章では、なぜ最終的に事実を認める決断をしたのか

その背景にどんな葛藤があったのかが語られます。

 

藤島氏はインタビューの中で「知らなかったという言い訳はもう通用しない。

メリーが言うことを信じて放置してきた鈍感さも含め、全て自分の責任だ」と明言しています。

 

そして自らの過ちを認めた上で、「ジャニー氏のしたことは許せない。

被害者の方々に一人も漏れなく補償とケアを行いたい」という強い意志を示しました。

 

この章は読者にとっても非常に重く痛ましい部分ですが、

同時に藤島氏が逃げずに事実と向き合おうとした姿勢が伝わってくる感動的な場面でもあります。

 

最終第十二章「ジャニーズの看板が下りた日、感じたことは?」では、

2023年秋に行われた事務所名称の撤廃と事務所廃業の決断について語られます。

 

藤島氏は被害者救済を最優先するため、自らが100%株主として残り賠償にあたる一方、

創業者の名前を冠した看板を下ろし組織を解散させる道を選びました。

 

これは「叔父ジャニーと母メリーが作ったものを閉じることが、自分にできる償いだ」との思いからだったといいます。

 

実際、彼女は記者会見では表に出ず手紙での謝罪を選びましたが、

その手紙には「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切無くしたい」という強烈な言葉が記されており、決意の程が伺えます。

 

事務所解散という前代未聞の決断に至るまでの心の揺れ動きや周囲からの批判も、

本章で包み隠さず語られています。

 

終章「ラストインタビュー」では、2024年末に行われた最後の対話の模様が綴られ、

藤島氏の現在の心境と今後への展望で本書は締めくくられます。

 

彼女は「被害者への補償と、残ったタレントたちの心のケアに専念する」と述べ、

自らは経営の表舞台から去る意向を示しました。

 

同時に、「ファンの皆さんとタレントたちには本当に申し訳ない。

そして彼らが新しい道で羽ばたけるよう精一杯後押ししたい」とのメッセージも残しています。

 

藤島ジュリー景子という一人の女性の懺悔と決意が込められたラストは、

読後に複雑ながらも清々しい余韻を与えてくれるでしょう。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

本書を通じて、藤島氏のこれまでメディアで

断片的に伝えられてきたイメージとは大きく異なっていました。

 

確かに本書は、彼女自身の言葉を中心に構成されているため、言いっぱなしとも言えますが、

その分だけ当事者の生の声がひしひしと伝わってきます。

 

読者は彼女の語る苦悩や後悔、そして愛憎入り混じった家族への感情に直に触れることで、

単なるスキャンダルの加害者家族というレッテルを越えた

一人の人間の物語を感じることができます。

 

また早見和真氏の筆致も特筆すべき点です。

 

小説家ならではの丁寧な聞き取りと構成によって、

単なるQ&Aの羅列ではなく一つの物語を読むような引き込まれる展開になっていました。

 

著者自身、「彼女の目に映る世界を伝えたい」という熱意を持って

この企画に臨んだとコメントしています。

 

そのおかげで、本書は単なる暴露本や報道記事とは一線を画す

貴重なヒューマンドキュメントに仕上がっています。

 

本書が気になる方は、是非手に取ってみてください!

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