こんにちは!しょーてぃーです!
今回は上間陽子さんの「海をあげる」について紹介します。
本書の印象に残った部分や感想を記載していきます。
本書をおすすめしたい人
・ノンフィクションがお好きな方
・沖縄の現実を知りたい方
・重たい話を読んで見たい方
本書は、現役の書店員の投票によって選ばれるノンフィクション本の賞である
「Yahoo!ニュース 本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞2021」の受賞作です。
本書は12個のエピソードで構成されています。
琉球大学の教育学の教授で、非行少年少女の問題等に取り組んでいる著者が、
家族や友人たち、性被害に苦しむ若い少女たちのことや
沖縄の基地のことなどを綴ったエッセイ集です。
「海をあげる」について
ギャップがすごい
本書は特にギャップがすごいです。
表紙や目次のタイトルや語り口で書かれているので
手に取りやすく、読みやすいです。
しかし中身は、現代の沖縄の問題に深く切り込んだ内容です。
しかも12編の全てが重体内ようなのですが
「これが沖縄の現実か・・・・」と突き付けられます。
沖縄の現実について
本書を通じて
著者が聞き取り調査を続けている沖縄の少女たちの苦しみや、
米軍基地移転による普天間の海の破壊から
米軍の暴行に怯えて暮らす女性たちの現状を知れます。
私自身、「沖縄が好き」と思っていて
何度か行っていますが、沖縄がここまで深い問題を抱えていることを考えていなかったです。
寧ろ、「沖縄が好き」といって
同じ国内ながら、どこか観光気分の場所でしかなく
遠い遠方の場所ことを見ようとしてないじゃないか!!
ということを著者に突き付けられました。
米軍基地問題や、沖縄の女性の働き方(ここでは性風俗しか働けない状態)の
社会問題等はニュースは耳にすることもありますが
何もわかっておらず、何も知らなかったことを気付かされます。
観光地として「綺麗」「いいところ」という
上っ面の良い面が目立ってしまう一方で
「現実はここまで酷いものなのだ」と実感できます。
著者の語り口
「本書の内容が残酷な現実を突きつけるものなのに
なぜここまで内容が入ってくるのだろうか?」と感じます。
理由は、著者の語り口で書かれていることが大きいことです。
著者自身が聞き取り調査を続けており、
だからこそ自分の言葉で書かれているんだなと感じました。
そして著者自身の言葉だからこそ
著者の気持ちと沖縄の現実が痛いほど伝わってきます。
静かな語り口が返って
どうしようもない諦めのような感情や怒りと
少しでも現実を知って貰いたいという切実な思いが伝わってきます。
最後に
ここまで本書を紹介してきました。
著者の語り口や、エッセイのため
一気読みができるほど読みやすいです。
読了後は沖縄のことについて
「調べてみよう」「知ってみよう」と思えることは間違いないです。
そして、タイトルの「海をあげる」という言葉の意味が
ゾッとするほど分かります。
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