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『黄色い家』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、川上未映子さんの

『黄色い家』について紹介をしていきます!

 

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『黄色い家』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

格差や貧困という現代社会の暗部に焦点を当てた物語です。

 

本書をオススメしたい人

・犯罪に手を染めざるを得ない状況を体感したい人

・サスペンスが好きな人

・本屋大賞にノミネートされた作品が気になる人

 

本作はコロナ禍に、主人公である40代の女性である伊藤花が

ネットで偶然目にしたある事件の記事によって

20年以上前の記憶を呼び起こされる形で始まります。

 

目に止まったのは、少女を監禁、暴行をしたことで

60歳の黄美子が逮捕されたというニュースです。

 

ニュースをきっかけに花は

20年前、黄美子と一緒に過ごした記憶がよみがえります。

 

当時、未成年の花は、スナックで働く母親と2人で貧しい暮らしをしていましたが

ネグレクトを受け、母親の彼氏に貯金を盗まれたことをきっかけに家出をします。

 

そこから母の紹介で知り合った黄美子と共同生活を始め

スナックで働くようになり、そこで出会った桃子と蘭と共に

より稼げる犯罪に手を染めていきます。

 

東京の片隅で奮闘する少女「花」の生き様を描くことで

貧困、家庭環境、教育格差など、様々な社会問題を扱ったハードな物語です。

 

過酷な環境の中で必死に生き抜こうとするも

次第に道を踏み外していく花の境遇に同情しながらも

「生きるとはどういうことか」を読者に訴えかける作品です。

 

『黄色い家』のあらすじ

あらすじの概要

2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶――

黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな〝シノギ〞に手を出すことになる。

歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい……。

黄色い家 より

 

物語の始まりは2020年、惣菜屋の販売スタッフとして働く花は

60代の女性が20代の女性を長期間部屋に監禁し

重傷を負わせたというネット記事を偶然見つけます。

 

容疑者の名は黄美子といい、花が20年ほど前に同居していた女性でした。

 

その家に一緒に住んでいた旧友である蘭に連絡すると

あの頃のことは忘れたい黒歴史であり

黄美子さんたちはおかしい大人でもう関わるべきではないといいます。

 

そこから花は、20年前の封印していた記憶を思い出していきます。

 

花の母親はスナックに勤めるシングルマザーで

花はネグレクト気味に育てられたうえに学校でもいじめられていました。

 

しかし、母が連れてきた知人の黄美子は、そんな花に優しくしてくれました。

 

高校生になった花は、家からの自立を目指して

ファミレスのアルバイトに必死になりますが

一生懸命貯めた貯金を母の交際相手である男に盗まれてしまいます。

 

絶望した花は、母親のもとを離れて黄美子と暮らすようになり

黄美子の知り合いから引き継いだスナック「れもん」を開店します。

 

経営は順調であり、更にはじめての友人である蘭や桃子とも仲良く働いていましたが

「れもん」は火事で何もかもを焼失してしまいます。

 

花は4人での楽しい生活を守り「れもん」を再開したいという思いから

黄美子の友人経由で仕事を紹介されますが

それはカード詐欺であり、次第に犯罪に手を染めるようになります。

 

『黄色い家』の感想

犯罪に手を染めてしまうリアルな過程を描いた作品!

本作は最後まで目が離せないスリリングな作品であり

魅力はなんといっても、必死に生きる真面目な花が犯罪に手を染めていくリアルな過程です。

 

貧困、きちんとした生活ではない、身分証も学歴もない

真面目な性格であるが故に次第に追い込まれ、犯罪に流されていく過程のすべてが

読んでいて「そうなるしかない」ように見えてしまいます。

 

花はきちんとしている性格で

気前がよくても、いい加減で真面目に生活のことを考えていない母の元で

生きていくのに必要なお金を必死に考えて成長しました。

 

高校生活をそっちのけにして、死にものぐるいでファミレスのバイトをし

自分は働いてお金を稼ぐことに喜びを感じる人間だと思い

社会がお金で回っていることを、肌身で感じて生きています。

 

しかしちゃんとしている花の周りは、ちゃんとしてない人で囲まれており

計画性のない甘い考えに花は時々苛立ちと不安がよぎりますが

常にお金のことを考えることを止められません。

 

しかも花は、他人を出し抜いて金儲けをする人間ではなく

何度もお金が貯まったかと思えば、手元から離れる経験をします。

 

そしてどんなに真面目でお金のことを考えて、努力家である花も

知識と経験の無さから、次第に転がり落ちていきます。

 

楽しく普通の暮らしをしたいだけなのに

犯罪に手を染めていくことになる花の姿は

現代社会でも、お金に困って闇バイトに手を出す若者を投影しているように思えます。

 

生きていくためにはお金が必要であり

お金によって心身におかしな部分が出て

別人のような見た目や性格に変わってしまうあたりは

極限状態に生きる状態と資本主義の怖さを目の当たりにします。

 

「どうしたら普通になれるのか?」「どうすれば楽しく生きられるのか?」と

貧しい家庭に生まれた少女が何度考えても

到底その願いが叶わず、お金に翻弄される姿を描いた本作は

読者に格差や貧困といった現代社会の暗い部分に向き合わせる作品です。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

お金によって転落していく登場人物のリアルを描いた本作は

本屋大賞にノミネートされるに相応しいと感じました!

 

本書が気になる方は

是非本書を手に取ってみてください!

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