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『殺し屋の営業術』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、野宮有さんの

『殺し屋の営業術』について紹介をしていきます!

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『殺し屋の営業術』について

この記事でわかること

  • 『殺し屋の営業術』のあらすじ(ネタバレ控えめ・前半)
  • 「営業×殺し屋」が刺さるポイントと、好みが分かれる点
  • 読後に残る問いと、どんな人におすすめか

本書の概要

『殺し屋の営業術』は、第71回江戸川乱歩賞受賞作の異色クライムノベルです。

トップ営業マンの鳥井一樹(36)が、ある事件現場で殺し屋と遭遇したことをきっかけに、「殺人請負会社」の営業を代行する羽目になります。

命を懸けたノルマは「2週間で2億円」。失敗すれば“全員が消される”という条件のもと、営業トークと心理戦で裏社会を渡っていく物語です。

単行本は講談社より2025年8月29日刊行(304頁、ISBN 978-4-06-540330-3)とされています。

本書をオススメしたい人

  • スピード感のあるクライムエンタメが好きな人
  • 交渉・心理戦・営業トークの応酬にワクワクしたい人
  • 「そんなのアリ!?」な設定を、勢いごと楽しめる人

正直、あまり向いていない人

  • リアリティ重視で、荒唐無稽な条件に冷めてしまう人
  • 暴力や裏社会の匂いが苦手な人(描写は必要最小限とされていますが、銃撃などは出てきます)
  • 緻密な謎解きや伏線回収を最優先で読みたい人

『殺し屋の営業術』のあらすじ

あらすじ(ネタバレ控えめ・前半)

営業成績トップの鳥井一樹は、防犯商材を売る会社で営業課長を務める、いわゆる“飛び込みの強い人”です。

ある日、アポイント先の古い団地で刺殺体を見つけてしまい、直後に背後から襲われて意識を失います。

襲ってきたのは「殺人請負会社」に属する殺し屋で、鳥井は口封じのために殺されかける。

ここで鳥井が選ぶのが、拳でも逃走でもなく、営業トークです。「ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します」と冷静に言い切り、相手の心を揺らしにいくんですね。

命の取引が飛び交う現場で、言葉だけで空気をひっくり返そうとする。その瞬間から、この物語は“常識の外側”に加速していきます。

騒動ののち、鳥井は裏社会の組織とバイト契約を結ぶ形になり、逃げ場のない条件を突きつけられます。

それが「2週間で2億円」という狂気のノルマ。しかも達成できなければ、自分だけじゃなく周囲ごと消される可能性がある。

鳥井はトップ営業マンとして培った“心理の読み”と“提案の組み立て”を武器に、この無茶なミッションへ踏み出していきます。

この作品はどんな読書体験か

読んでる感覚は、ひたすら“命がけの商談”に同席している感じです。

ページをめくるたびに条件が悪化して、相手は全員まともじゃないのに、鳥井だけは商談モードで淡々と話を前に進める。

正直、ここまで振り切ってくれると気持ちいいです。リアルかどうかより、「言葉で生き残る」一点突破の快感が勝ちます。

『殺し屋の営業術』の感想

感想①:テーマ

この作品の芯は、「営業は頭脳戦」という考え方を、極限まで誇張して見せるところだと思います。

鳥井は、顧客・自分・他社の三つ巴を読み切るのが営業だ、と語る立場にいます。

それを“殺し屋相手”にやる。つまり、失注=死、みたいな世界で同じロジックを回すんです。

ここが笑えるのに怖い。仕事の世界でよく聞く「結果がすべて」を、文字通りにするとこうなるのか…って背筋が少し冷えました。

しかも本書は、ただの根性論じゃなくて、相手の感情の揺れを作り、選択肢を組み替え、最終的に“相手の利益”として提案を差し出す。

そういう営業の型が、サスペンスのギミックとして機能しているのが面白いです。

読んでいて、「自分は何を売って、何を守っているんだろう」って、ちょっと考えさせられました。

感想②:人物(語り)

鳥井の魅力は、冷静さです。普通ならパニックになる状況でも、彼は“商談の顔”を崩さない。

ただ、その冷静さがだんだん別の色に見えてくるのが怖いところでもあります。

最初は「生き残るための交渉」だったのに、いつの間にか「交渉そのもの」が楽しくなってきてない?って感じる瞬間があるんですよね。

読者レビューで「無邪気に闇落ちしていく」みたいな言われ方をしていたのも、たぶんここです。

裏社会の側も、ただの悪役じゃなくて、それぞれの立場と理屈がある。

殺し屋のボス・風間、暴力団の若頭・巣ヶ谷貴洋といった存在が、鳥井に「選べ」と迫ることで、彼の輪郭がどんどんはっきりしていきます。

そして鳥井は、脅されて動かされているようでいて、ちゃんと“自分の言葉”で状況をひっくり返そうとする。

この主体性が、カッコいいのに危うい。そこがクセになります。

感想③:読後感

読後感は、爽快さと不穏さが同居します。

テンポが早くて、危機が連打されて、気づいたらかなりのページを持っていかれます。

その一方で、「このまま突き進んだ先で、鳥井は何者になるんだろう」と思わされる。

“勝てば正しい”の世界に適応しすぎると、人ってどこまで変わるのか。ここがこの作品のいちばん怖い余韻かもしれません。

あと正直に言うと、設定の派手さを真面目に検証し始めると追いつけないところはあります。

でも、それを吹き飛ばす勢いがある。エンタメとしての潔さは、かなり強いと思います。

この作品が投げかける問い

「生き残るために身につけた技術」は、いつから“自分そのもの”になるんでしょう。

最初は守るためだったのに、勝つことが快感になって、勝ち方が人格になっていく。

その変化に自覚がないまま進んだとき、人はどこで引き返せるのか。

あなたがもし“結果がすべて”の場所に放り込まれたら、何を守って、何を捨てますか。

最後に

『殺し屋の営業術』は、「営業トークで命をつなぐ」という非常識を、最後まで本気で走らせるクライムエンタメでした。

リアルさより、交渉の快感と心理戦のテンポで押し切ってくるタイプなので、肩の力を抜いて読むほど楽しいと思います。

営業小説が好きな方はもちろん、裏社会ものの“駆け引き”が好きな方は、是非手に取ってみてください!

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