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『我々は、みな孤独である』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、貴志祐介さんの

『我々は、みな孤独である』について紹介をしていきます!

 

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『我々は、みな孤独である』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

複雑な世の中を描いたハードボイルドかつ奇想天外な物語です。

 

本書をオススメしたい人

・複雑な物語が好きな人

・ハードボイルド系が好きな人

・貴志祐介さんが好きな人

 

主人公の探偵、茶畑徹朗に

「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という奇妙な依頼が届きます。

 

事務所の経営状況は危なく

報酬がいいという理由で依頼を引き受けますが

調査を進めるにつれて、自分たちも前世の記憶としか思えないくらいの

鮮明な夢を見るようになっていきます。

 

そして、そこから物語はあらゆる方面へ進んでいきます。

 

前世の殺人事件を追うミステリーと

ヤクザ・暴力団・殺伐とした世界・SF・オカルトなどが混じり合った

怒涛の展開かつハートボイルドな物語であり

本書のタイトルである「我々は、みな孤独である」を体現する作品です。

 

『我々は、みな孤独である』のあらすじ

あらすじの概要

探偵・茶畑徹朗の許にもたらされた、奇妙な依頼。「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」と言う依頼人・正木栄之介は八十歳に近いが、一代で企業を築き上げた傑物らしく未だ矍鑠としている。前世など存在しないと考える茶畑と助手の毬子は適当に話を合わせて報酬を得ようとするが、調査を進めるにつれ、次第に自分たちも前世の記憶としか思えない鮮明な夢を見るようになり──。鬼才が今描く死生観とは? 未体験、未曾有のエンターテインメント!(巻末 著者インタビュー)

角川春樹事務所 より

 

前世にあった殺人事件の依頼

主人公は売れていない探偵事務所の所長の茶畑です。

 

家賃の支払いに困っていますが、

腕は確かで数少ないクライアントからは信頼されています。

 

そして引き受けた事件は会社の社長からの依頼で

前世で自分を殺した犯人を見つけて欲しいというものでした。

 

前世、それも江戸時代くらいの時代の犯人探しという

突拍子もない依頼でしたが、報酬のため主人公は捜査を進めます。

 

依頼主の社長がボケかかってたり、霊能力者に騙されたり

そもそも前世の話自体が本当なのかかなり疑わしい状態です。

 

売れない時代小説作家に接近して、

依頼主から聞いた前世の話をもとに架空の時代小説を執筆させます。

 

そして出来上がった小説を実に基づいた小説として地方の郷土史家に紹介し

食いついた郷土史家に、小説のモデルになった歴史上の出来事がなかったか調べさせます。

 

『我々は、みな孤独である』の感想

世の中と同じように何も解決しない作品

本作の冒頭部分は、「前世で自分を殺した犯人を捜してほしい」という不可解で奇妙な依頼です。

 

もちろんそんな依頼は解決しようにもできないです。

なぜなら、依頼人が夢で見た人物だからです。

 

夢の中の依頼人は江戸時代の無名の百姓であり、ある夜、殺されました。

そして依頼人は、自分が見たものは夢ではなく「前世の記憶」と主張しました。

 

そして主人公の茶畑はそんなこと全く信じておらず

リアリティのあるウソをでっちあげようとします。

 

なぜなら金のための仕事だが、どうせ正しいかどうかかなんて誰も分からないので

依頼人が満足すればそれでいいという、現実的な思考法です。

 

このあたりは他の小説だと意地でも探そうとしますが

かなり現実的な解決方法で物語が進み面白くなりそうと思いました。

 

ですがこの謎は、全体の1/3を過ぎたあたりで

謎を追うことよりも緊急性のある状況になります。

 

それは、でっちあげるために書いた小説を読んだ人間が

皆前世の記憶を思い出し始め、その内容はなぜか依頼主と同じ殺される立場のものでした。

 

そしてリアリストであるはずの茶畑が

段々と前世の存在を信じざるを得なくなっていきます。

 

さらに依頼が来る前に、茶畑は事務所の従業員に金を持ち逃げされ

家賃が払えなくなるほど困窮している場面が描かれており

その従業員が闇金にも手を出し

そのケツ持ちをしている幼馴染の暴力団からも金銭を要求されます。

 

そこから話はどんどん大きく広がり

メキシコのマフィアからも追われ、

マフィアと暴力団との抗争に巻き込まれ、

暴力に晒される展開にもなります。

 

そして、前世の殺人を追うミステリーと

ゴタゴタに巻き込まれるハードボイルドな感じは

どちらも綺麗な結末とは言い切れない形で終わります。

 

読者としては、後味が悪くスッキリしない印象をどうしても受けてしまいます。

 

ただ、依頼主の前世と繋がっていたこと

幼馴染の暴力に自分自身を重ねることも

すべては元々1つでのものであり繋がっているということ

 

そして、これらについて考えても明確な答えは出ることがなく

そこに生じる気持ち悪さや違和感について描きたかったのかな?と思います。

 

世の中と同じように「これが真実である」とわかることなんて無く

ただそれらについて考えたところで

自分の腑に落ちるところに落とさざるを得ないので

「じゃあみんなが納得する答えなんてないよね?」ということを

体現したかったのではないかなと思いました!

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

怒涛な展開ながら、世の中の現象を剥き出しにしたと感じる作品でした!

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

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