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『ツミデミック』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、一穂ミチさんの

『ツミデミック』について紹介していきます!

 

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『ツミデミック』について 

本書の概要

本作はひとことで言うと

コロナ禍を背景とした犯罪短編集です。

 

本書をオススメしたい人

・不穏な作品が好きな人

・短編集が好きな人

・直木賞受賞作が気になる人

 

第171回直木賞を受賞した本作は

コロナ禍をきっかけに、人生がうまくいかなくなった人々が登場する短編集です。

 

夜の街で客引きをしてる大学生、フードデリバリーにはまった主婦、

再就職先の見つからない妻子持ちの男、高校生の娘の妊娠に戸惑う父

高校にある願掛けの木に立ち尽くしていた少女、

ある目的のためにツイッターで知り合って待ち合わせをした人々など

全6編で違った主人公の短編6編が収録されています。

 

本作のタイトルである「ツミデミック」とは

「罪」とパンデミックをかけた造語で、どの物語も罪がテーマとなっており

登場人物がの心情が犯罪心理に染まっていくように描かれています。

 

閉塞感が生まれたコロナ禍の現代ならではの犯罪心理とはいえ

自分の身に降りかかってもおかしくないようなリアリティがあり

身近に恐怖を感じられる作品となっています。

 

『ツミデミック』のあらすじ

あらすじの概要

大学を中退し、夜の街で客引きのバイトをしている優斗。ある日、バイト中に話しかけてきた女は、中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と目の前の女の話に戸惑う優斗は――「違う羽の鳥」

調理師の職を失った恭一は、家に籠もりがち。ある日、小一の息子・隼が遊びから帰ってくると、聖徳太子の描かれた旧一万円札を持っていた。近隣に住む老人からもらったという。翌日、恭一は得意の澄まし汁を作って老人宅を訪れると――「特別縁故者」

渦中の人間の有様を描き取った、心震える全6話。

ツミデミック より

 

違う羽の鳥

大学を中退し夜の路上で居酒屋の呼び込みバイトをやっている優斗は

聞きなじみのある大阪弁の派手な女性から逆ナンされます。

 

仕事が終わったら飲みに行こうと誘われ向かうも

その女は中学時代に死んだはずの同級生を名乗ります。

 

ロマンス☆

百合は四歳の娘のさゆみと歩いているとき

自転車に乗ったフードデリバリーサービスのミーデリのイケメン配達員とすれ違います。

 

脳裏にそのイケメンは焼きついてしまい

また会いたいと思った百合は、さゆみが幼稚園に通う時間で

こっそりフードデリバリーを頼み、イケメンとの再会を心待ちにしますが・・・

 

憐光

気づいたら松の木の下にいたあたしは

15年前の豪雨災害で死んでおり、幽霊になってしまったようです。

 

そのまま家へ帰ろうとすると、

親友のつばさや、当時担任だった杉田先生を見つけ

2人は唯の家に向かうところだったので、車に便乗することにしました。

 

そして15年前の真実が明かされます。

 

特別縁故者

飲食店に勤めていた恭一は、コロナ禍で人員整理の対象となり無職になりますが

なかなか新しい仕事が見つからず、自堕落な日々を送っていました。

 

そんな中、7歳の息子である隼が

近所のおじいさんに聖徳太子の旧一万円札をもらってくきます。

 

今でも聖徳太子の1万円札が使えることを確認した恭一は、

おじいさんの家にお礼ということで探りに行きます。

 

祝福の歌

達郎の母は、80代で一人暮らしをしています。

 

17歳の娘が妊娠したことに頭を抱える達郎は

実家の両親からお隣さんの様子が気になると相談されます。

 

近々子供を産む様子だった奥さんだが、

泣き声もせず、奥さんの顔色が日々悪くなっているそうです。

 

さざなみドライブ

Twitterで知り合った5人は年齢も性別もバラバラですが

全員が「パンデミックで人生を壊された人」です。

 

そして5人はこれから死ぬためにドライブをはじめ

移動する途中、順番に死にたくなった理由を話し出します。

 

『ツミデミック』の感想

罪を身近に感じられる短編集

本作の登場人物たちはいずれも

コロナ禍によって家庭環境のストレスや職を失ったことで

少しレールを踏み外してしまった人たちです。

 

彼らは決して悪人というわけではなく、どこにでもいそうな普通の人たちです。

 

しかしコロナ禍の異様な空気感によって

それぞれが抱える罪や、誰かに向けた悪意などが芽生えていきますが

どれも身近で共感しやすいものだと感じました。

 

たまたま自分はコロナ禍でも、仕事があって問題なく生活ができていましたが

一歩間違えれば仕事がなくなって、堕落していてもおかしくないなと思いました。

 

そして、罪の意識もなかった登場人物たちに

少しずつ罪の意識が芽生えていく過程や変化の姿が非常にリアルでした。

 

登場人物たちの身近さと、心情の描き方がリアルだからこそ

非常に読み応えがあり、罪を身近に感じられる作品だと感じました。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

直木賞を受賞した本作は、非常に面白い短編集でした!

 

本書が気になる方は

是非本書を手に取ってみてください!

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