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『いえ 』のあらすじと感想について | 小野寺史宜さん著書

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、小野寺史宜さんの

『いえ』について紹介をしていきます!

 

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『いえ』について 

本書の概要

2019年本屋大賞で

第2位にノミネートされた「ひと」

そして「まち」に続く

荒川を舞台とした青春小説です。

 

※「ひと」が気になる方はこちら

※「まち」が気になる方はこちら

 

妹が事故で左足をひきづるようになった

主人公である傑のやりきれない気持ちを

自分なりに乗り越えていく物語です。

 

本書をオススメしたい人

・ヒューマンストーリーが好きな人

・素朴な物語が好きな人

・「ひと」や「まち」を読んだ人

 

本書は「妹が事故にあったこと」を除けば

何気ない日常の中で

主人公の傑が葛藤する物語です。

 

事故をきっかけに

・妹に対する見方

・両親の不仲

・恋人との関係

・友達との関係

・職場の人間関係  などに対しての

傑自身の考え方が変わり

人として大きく成長する物語です。

 

家庭や職場環境の問題などは

本当にあるあるだなと思うところも多く

社会人3年目である傑の

人として成長する姿に心が温まる物語です。

 

「ひと」や「まち」と同じ

荒川付近が舞台であり

上記作品で出てきた登場人物などが

登場するあたりも欠かせない作品です。

 

『いえ』のあらすじ

あらすじの概要

社会人三年めの三上傑には、大学生の妹、若緒がいた。仲は特に良くも悪くもなく、普通。

しかし最近、傑は妹のことばかり気にかけている。

傑の友だちであり若緒の恋人でもある城山大河が、ドライブデート中に事故を起こしたのだ。後遺症で、若緒は左足を引きずるようになってしまった。

以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡って、三上家はどこかぎくしゃくしている。

教員の父は大河に一定の理解を示すが、納得いかない母が突っかかり、喧嘩が絶えない。

ハンデを負いながら、若緒は就活に苦戦中。

家族に、友に、どう接すればいいのか。思い悩む傑は……。

引用元:いえ

 

主な登場人物

本作の主な登場人物は、以下になります。

 

三上傑

本作の主人公です。

傑はすぐると読みます。

 

近所のスーパーである

ハートマート両国店に勤めて3年目の社員です。

 

生まれ育った江戸川区の平井に住んでおり

自分のことを凡人だと自覚しています。

 

三上若緒

傑の妹で、就職活動中の大学生です。

事故の影響で左足を引きずるようになります。

 

本人は「歩けるからいい」と言い

事故のことをあまり気にしていない様子です。

 

城山大河

傑の中学時代からの友だちで

若緒の恋人です。

 

ドライブデート中に強引な右折をして

対向車と衝突事故を起こして

そのとき助手席にいた若緒に怪我を負わせました。

 

若緒が左足を引きずるようになって以来、

傑とまともに話せておらず

事故のことを悔やんでいます。

 

三上達士

傑の父で、墨田区にある都立高で

教頭先生を務めています。

 

家庭内では朝のごみ出しを忘れたことや

夜の風呂掃除を忘れたことなどで

母に文句を言われがちです。

 

達士は大河を受け入れていて

「大河くんは悪くない」と言っています。

 

三上春

傑の母で専業主婦です。

春は事故以来、大河を受け入れていません。

 

傑が小さかったころは大河に好印象を持っており

若緒が付き合いだしたころも

まだ大河に好印象を持っていました。

 

しかし事故以来

大河に対してやるせない気持ちでいます。

 

福地美令

傑の彼女で阿佐ヶ谷に住んでいます。

傑とは大学の同級生で、それ以来の付き合いです。

 

ふりかけをつくる会社の三年目の社員で

傑は美令の会社のふりかけは

ついつい商品棚のいい場所に置きたくなっています。

 

ネタバレを含むあらすじ

以下から一部ネタバレを含みます。

 

日々葛藤する傑

本作は、若緒と大河が

デート中にドライブで事故に遭ったことをきっかけに

主人公の傑による心情などが

1人称で話が展開されていきます。

 

根本的に自己肯定感が低い傑は

自分のことを以下のように思っています。

 

おれ。傑はすぐると読む。傑物、豪傑、の傑だ。

残念ながら、おれは傑物でも豪傑でもない。どちらかと言えば凡人だ。

どちらかと言わなくても凡人。

引用元:いえ

 

凡人であると自己評価をして

事故の後遺症が残る若緒と彼氏の大河が

自分と比べて優秀であることを理解した上で日々葛藤します。

 

事故の後遺症で

ハンデや先入観を背負った若緒の就職活動が

うまくいかないことを心配したり

彼女の美令に対して

若緒が事故で苦しんでいるはずなのに

自分は幸せになっていいのか?など考え込んでしまいます。

 

若緒自身は家庭内で

後遺症を受けたことのショックや嫌味などは

一切出していません。

 

あくまでも傑や両親が

「かわいそう」と思っているのですが

事故をきっかけに自分より優秀な妹をはじめ

家族や周囲の人に「どう接していいか」を思い悩んでいきます。

 

夫婦間の雲行きが怪しくなる

事故をきっかけに、父の達士と母の春が

揉める回数が増えていきました。

 

事故をきっかけに

家庭内の空気があまり良くないことと

そもそも母がナーバスになっていることから

少しのいざこざでも

今まで以上に母が父に

ひとこと二言付け加える回数が増えました。

 

そして事故のことに対して

父親が大河が悪いと思わないことに対して

母親は不服を持つようになります。

 

家庭内の空気が悪化していく中

母方の祖父が体調を崩したことから

実家の京都に母親が帰省します。

 

しかし、祖父の体調が良くなっても

母親は「まだ帰れない」と言い

家に帰ってこなくなります。

 

同級生との飲み会にて

傑や大河やを含む数名で

飲み会が開催されることになりました。

 

しかし、大河は嘘か本当かわかりませんが

「仕事で行けない」と理由に欠席します。

 

周囲は大河と若緒の事故のことを

知らないことをきっかけに

大河が若緒と別れてから4ヶ月後に

中学時の同級生と付き合うことを知ります。

 

どういう経緯があったかを知らない傑は

この事実を知り

「なぜ別れたのか?」

「4ヶ月後に付き合うのか?」など

また考え込んでしまいます。

 

大河について

イケメンで勉強もできて

中学のサッカーでもエースだった大河と

勉強も普通で

サッカー部でずっと補欠だった傑は

仲が良かったものの

事故以来、連絡を取らなくなります。

 

敢えて取らなかったわけではなく

なんとなく取らなかっただけでしたが

傑は大河の立場になって

事故のことを想像してしまいます。

 

好印象から悪印象になった家庭内の評価と

自分の中での評価のズレにより

振る舞い方がわからず

大河の立場になったら自分はどうするなど

ここでも傑は悩んでしまいます。

 

職場でもうまくいかない傑

近所のスーパーである

ハートマート両国店に勤めて3年目になる傑ですが

仕事に対しては意欲的でも怠惰でもありません。

 

しかし、パートである主婦の泉田さんをはじめ

シフトのことをきっかけに

うまくいかない日々が続きます。

 

できる先輩である間瀬さんとは違い

パートさんと上手くできない自分に苛立ち

転職が過ってしまいます。

 

「間瀬さんがシフト作成してください」と

パートさんから言われていることを知り

少し投げやりにもなってしまいますが

「パートさんのガス抜きをするのも俺らの仕事」と

間瀬さんに説得される日々が続きます。

 

『いえ』の感想

3部作の最終傑作

本書は「いえ」「まち」と同じで

荒川付近が舞台ですが

これら2作と同様でとても面白い作品です。

 

物語の中で特別大きなことは起こらず

何気ない日常が舞台でありながら

読んでいて物語に引き込まれる面白さでした。

 

また、作者の小野寺さんも

本書が3部作の最後であることを匂わせています。

 

ひとはまちでいえに住みます

やっと三つがそろいました

引用元:いえ

 

3部作の最終には相応しい作品だなと

読了後に感じました!!

 

傑の成長について

事故をきっかけにいろいろなことに

悩みもがく傑ですが

少しずつ事態が好転していきます。

 

好転するまでに

いろんな挫折を繰り返しますが

周囲の「ひと」や今まで過ごした「まち」の影響で

少しずつ人間として成長する姿に

心が温かくなっていきます。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

何気ない日常の物語ながら

世界観に引き込ませる

小野寺さんはすごいなと感じました!

 

また、傑の立場や心情には

ものすごく共感してしまう場面が多く

あっという間に読み終えてしまう作品です。

 

本書が気になる方は

是非手に取ってみてください!

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