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『葬式同窓会』のあらすじと感想について

小説

こんにちは!しょーてぃーです!

今回は、乾ルカさんの

『葬式同窓会』について紹介をしていきます!

 

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『葬式同窓会』について 

本書の概要

本書はひとことで言うと

過去の苦しい記憶と向き合う青春群像劇の物語です。

 

本書をオススメしたい人

・青春群像劇が好きな人

・いじめられたことがある人

・学生時代良い思い出がない人

 

本作は、北海道立白麗高校の

元3年6組のクラスメイトによる青春群像劇です。

 

高校の担任である水野の葬儀で7年ぶりに再会した彼女たちは

葬儀後、同窓会のような空気にになり思い出話で盛り上がります。

 

思い出話に花を咲かせていた彼女たちは

ふと、水野が起こしたとある事件を思い出します。

 

ある日突然、水野はクラスメイトの船守に対して

これまでの言動からは考えられないくらいの体罰のような授業を行いました。

 

記憶の齟齬を揺り起こし、かつて高校生だったものたちを縛る

苦い過去について描き出されている本作は

「過去を乗り越えるためには、どうしたらいいか?」と

誰もが一度は自分に問いかけた思いを描いている青春群像劇です。

 

『葬式同窓会』のあらすじ

あらすじの概要

7年ぶりに再会した、北海道立白麗高校3年6組の元クラスメートたち。それは同窓会ではなく、担任だった水野先生の葬儀だった。思いがけず再会した皆は、水野が授業中におこした〝事件〟が切っ掛けで不登校になったクラスメートがいたことを思い出す――。青春群像劇の傑作。

葬式同窓会  より

 

北海道立白麗高校3年6組の元クラスメイトたちは

クラスの担任であった水野先生の葬儀をキッカケに

7年ぶりに再会することになりました。

 

現在白麗高校で司書教諭をしている優菜は

かつて自分をいじめた華と会うことに憂鬱さを感じていましたが

華自身はまったくそんなことは気にしていませんでした。

 

そんな優菜を他所に華は大学時代に、ある小説賞の候補作に選ばれて以来

もうすぐ作家デビュー間近であることを周囲に自慢しています。

 

同窓会のように高校時代の思い出話を楽しんでいた同級生たちは

ふと水野が起こしたとある事件を思い出します。

 

ある日突然水野は、クラスメイトの船守に対して

これまでの言動からは考えられないくらいの体罰のような授業を行いました。

 

そしてその日以来、船守は不登校になりましたが

華は水野があの日突然、豹変したの理由を気になり始めて

それを自身の小説の題材にしようします。

 

『葬式同窓会』の感想

苦い記憶を乗り越える優菜と船守を讃えたい!

本作は、北海道立白麗高校3年6組の元クラスメイトたちの群像劇ですが

中心は柏崎優菜と船守大和の2人です。

 

柏崎優菜は優しくて自己主張の強くない女性であり

本好きでもある彼女は、現在母校の白麗高校で司書教諭をしています。

 

優菜は高校1年の時、北別府華を中心とした女生徒のグループから

仲間外れ、陰口、イヤミなどのイジメを受けており

自己主張が得意ではない優菜にとって、心に深い傷を負った過去でした。

 

2年でクラスが分かれたことでイジメがなくなったものの

3年で再び北別府華と一緒のクラスになりますが

グループではなく1人になった華は再びイジメをすることがないものの

悪かったと思っている様子もなく、図々しく接してくる様子に

優菜の心は擦り減っていきました。

 

そして高校を卒業後、ようやく心の傷も癒えたと思った矢先に

水野先生の葬儀で華と再会したことで

当時の記憶が掘り起こされ、苦しさが蘇ることになります。

 

船守大和は高校3年のある日、機嫌の悪かった水野から

授業で体罰のような扱いを執拗に受けたことで、不登校になりました。

 

大和はそこから復学できることなく

7年経った今、ある決心を持って1人で山に登ってきました。

 

大和は学校だけでなく家庭でも問題を抱えており

本作の登場人物の中で、もっとも苦しい人生を送っています。

 

この2人を軸に、イジメっ゙子の華、イケメンの一木来良、

優菜の親友である才色兼備の碓氷彩海、

クラスの中心人物であった望月凛が、それぞれの人生を見つめ直していきます。

 

「自分の過去を振り返り、人生を見つめ直す」と聞けば聞こえはいいですが

本作を読み進めるほど「振り返ってもチャラにはならないよ?」と思い

胸が痛くなるような物語だと感じました。

 

高校時代を含め学生時代は、楽しいことばかりではなく

思い出したくないこともたくさんあります。

 

大人になったからといって「あの頃は若かったから」と

一纏めにされると胸にしこりが残る人も多いと思います。

 

自己解決でなんとか蓋をした「いじめられた日々の記憶」によって

今も苦しめられ続けている人は決して少なくないでしょう。

 

どんなに時間が経っても、決して忘れられるはずがなく

いじめた側が「色々あったかもしれないけど、今となってはいい思い出だよね」と

能天気な言葉で、それを片付けようとしても

いじめられた側の中では、いつまでも残り続けるものです。

 

本作はいじめられた側の人間を救済してくれる物語です。

 

まず読めば読むほど、華という人間に怒りを感じます。

彼女は常に周りを見下し、自己顕示欲の塊であり自分勝手です。

 

もちろん自分がいじめたことなんて、大したことではない思っており

優菜はそんな態度に虚しさを覚え、一部の読者はそんな優菜に激しく共感すると思います。

 

今もいじめられた日々のことを忘れられずにいるのに

いじめられた側の虚無感を感じ、それに共感無しで読み進めることができないでしょう。

 

いじめられた側は過去のことは水に流して

「あんな時もあったね」と笑ってあげるのが大人の振る舞いでしょうか?

いや、そんなことは割に合わないしあってはならないことを本作は伝えてくれます。

 

暗く辛い過去に対しての向き合い方や

本当の意味で大人になることはどういうことかを提示してくれます。

 

また、感情を揺さぶられる重いテーマでありながらも、

ようやく前を向いて歩き出した優菜たちの姿から読了後は爽やかな気分になります。

 

最後に

ここまで本書について紹介してきました。

 

重いテーマながらも、多くの人の救済となる本作は

非常に面白く、読み応えのある作品でした!

 

本書が気になる方は

是非本書を手に取ってみてください!

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